心身ともに感じる享栄・東松の“ホンモノ”ぶり 高校「BIG5」に改める日も近そう

[ 2022年3月12日 08:00 ]

享栄・東松快征
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 「えっ、これが1年生?」

 大阪を拠点とするアマチュア野球担当として、近3年、東海地方以西の高校1年生投手を見て思わず口をついたのは、明石商・中森俊介(現ロッテ)、天理・達孝太(現日本ハム)、市和歌山・小園健太(現DeNA)、高知・森木大智(現阪神)の4人だけ。恥ずかしながら、1年時の中京大中京・高橋宏斗(現中日)は見たことがなかった。中森はドラフト2位で、他3人は同1位でプロ入りを果たした。

 現役では第94回選抜高校野球大会(18日から13日間、甲子園)に出場する大阪桐蔭・前田悠伍にも同様の感想を抱いたが、京都国際との練習試合を9日に行った享栄(愛知)にそんな逸材がまた一人、いた。

 東松快征(とうまつ・かいせい)。聞けば、最速はすでに147キロに達しているという。しかもサウスポー。1球、直球を見ただけで“ホンモノ”であることが伝わってきた。優勝候補に挙がる京都国際を相手に、140キロ台中盤をバンバン投げ込んで6回1失点(自責0)。変化球の精度やマウンドさばきにはまだ課題があるように映ったが、球威だけなら世代No・1だろう。

 何より驚かされたのは、その気持ちの強さだ。試合後取材のワンシーン。直球が売りの投手であることはすぐにわかったが、あえて質問をぶつけてみた。「自分の持ち味…」と筆者が言ったところで間髪入れず「直球です!」とズバッ。澄んだ真っすぐな瞳に、思わず圧倒されてしまった。ネットで検索しても、東松の記事はまだほとんど出てこない。同世代では選抜に出場する4人(大阪桐蔭・前田、花巻東・佐々木麟太郎、広陵・真鍋慧、九州国際大付・佐倉侠史朗)が注目を集めているが「野手3人から夏の甲子園で三振を取る」とこれまたズバッ。本人が言ったわけではないが「俺を忘れるな」という気概がひしひしと伝わってきた。

 中京大中京(愛知)で09年夏の甲子園を制し、18年8月から指揮を執る大藤敏行監督も「ライバル校で監督をやるチャンスをもらって“もう一回頑張ってみろよ”という、神様からのプレゼントだと思っている。(能力は)ピカピカですよ」とほれ込む逸材。「BIG4」改め、東松も含めた「BIG5」として話題を呼ぶ日もそう遠くなさそうだ。(記者コラム・北野 将市)

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2022年3月12日のニュース