阪神・青柳 ドラ5入団から夢の初開幕投手へ 矢野監督「結果だけじゃなく姿勢も含めて、任せたいと」

[ 2022年3月12日 05:30 ]

オープン戦   阪神6-1中日 ( 2022年3月11日    甲子園 )

<神・中>3回、岡林を一ゴロに打ち取り、笑顔の青柳(撮影・大森 寛明)
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 阪神の青柳晃洋投手(28)が11日、7年目で自身初の開幕投手を務めることが正式に決まった。試合後に矢野燿大監督(53)が4日の楽天戦の登板後に本人へ通達したことを明かした。球団生え抜きでは1997年の川尻哲郎(94年ドラフト4位)を更新するドラフト最低指名となる5位での開幕投手。本番を2週間後に控えたこの日の中日戦でも今春最長の7回を4安打1失点と快投した。

 自らの使命であるかのように口にしてきた輝くマウンドに立つ。青柳は、たぎる闘志を抑えるように、淡々と言葉をつないだ。

 「候補が何人もいる中で選んでもらったのは光栄に思います。僕自身そこで投げるという気持ちを持ってオフからやっていたので、やっと言ってもらえたなという感じ」

 矢野監督からは前回登板だった4日の楽天戦後に「いくぞ」と通達された。指揮官は「昨年の結果も踏まえて、ヤギ(青柳)に任せていいんじゃないかっていうのは、みんなも思っている。(開幕は)結果だけじゃなく姿勢やそういうものも求められる。それも含めてヤギに任せたいという気持ち」と理由を明かした。

 昨季終了後から堂々と「開幕投手」への熱意を口にしてきた。そこに恥や遠慮は一切ない。自らの成長やチームへの強い献身…すべてはプロ野球選手としての向上心だ。「こんな下手くそでもここまでできるというのは見てもらえたら」。球界では少数派の変則投法。1年目から失敗も経験しながら地位を築いてきた。制球難や苦手の守備を努力で克服し、球界を代表するスターターに成長。昨季は13勝で最多勝、勝率第1位のリーグ2冠を手にすると、一気に開幕投手に狙いを定めた。

 大役にふさわしいパフォーマンスも見せた。この日はこれまで制限をかけていた勝負球のスライダーとツーシームを序盤から解禁。“完全体”でマウンドに上がると、中日打線を手玉に取った。

 「全然、球速も落ちなかったですし、キャンプを通して一番球数投げましたけど、体の面では全然大丈夫」

 4回まで1安打。6回2死一塁でビシエドを迎えた場面では、自らのけん制で走者を刺した。「空振りも、三振もあった。結果球としても使えた。すごい手応えを感じています」。2月から磨きをかけてきたカーブを活用するなど、今春最多の97球は充実の内容。6回2失点だった大野雄との開幕投手対決にも投げ勝つ、7回1失点の快投だった。

 「ファーストゲームというのは143試合分の1ですけど、143分の1じゃないっていうところもある。どんな形でも勝って、チームに勢いをつけられるように」

 そこからエースへの第一歩を踏み出す。3月25日は青柳晃洋の“第2章”の始まりだ。(遠藤 礼)

《矢野監督「俺もうれしい」 2軍監督時代からの教え子が成長》
 満を持しての指名となったが、矢野監督の胸の中では揺るぎない“本命”だった。2軍監督時代から青柳の成長を見てきており、投球面だけでなく、取り組む姿勢や人間性を改めて評価した。

 「最多勝を獲ったのもそうやし、開幕投手を任せてもいいだろう、というところまできてくれたのは、俺もうれしい。指導者として励みになるというか、みんなやれば可能性を広げることができるんだというのを、アイツが示してくれているんで」

 ここまで公表しなかったことには「競争をあおりたいと思っていたし。早く言うことでいいこともあるし、でもチームバランスを考えた時に、もちろん(西)勇輝だっていけるし、他の投手も意欲を持ってやってくれている時だったんで」と説明。異論のない決着となったはずだ。

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