なぜ広島の与四球数は激減したのか データの徹底共有から始まった意識改革

[ 2022年3月6日 09:00 ]

広島沖縄キャンプ、佐々岡真司監督の見つめる前でブルペン投球する栗林良吏
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 広島の投手陣は、今春から試合の開始前と終了後に四球や先頭打者の出塁に関するデータを全員で共有するようになった。たとえば「今日の試合で先頭打者を出塁させたのは4度あり、失点につながったのは3度ありました」というように、首脳陣が具体的な数字を用いて説明している。

 四球減が今春のテーマだった。昨季リーグワーストの483与四球を数えた投手陣が2月中の対外試合5戦で計5与四球のみ。無四球も2度あった。データを提示し続けた意識改革が課題を克服する一歩になった。

 ナインも効果を実感する。栗林は「一人一人がストライクゾーンで勝負するんだという気持ちで投げている」と明かし、島内も「これまで以上に徹底して数字を提示してもらえると自然と意識にすり込まれていく」とうなずく。

 四球を怖がって球が甘くなるなど裏目に出ることはないのか――。島内は首を横に振る。「要するに初球からしっかりとゾーンで勝負できるように準備をしなさいということだと思う」。意識改革の手段としてデータを用いているものの、首脳陣が求めているのは結果が出るまでの過程。先頭打者のデータなどをしつこく提示するのは、佐々岡監督が一貫して主張してきた「準備の大切さ」を数字として示していると言える。

 栗林は言う。「ピンチになるまではストライクゾーンで強く勝負できればいいと僕は思っている。事実として四球は減っているし、投手陣全体で意識高くできていると思う」。技術の向上だけでなく、意識の変化から結果が変わり始めている。(記者コラム・河合 洋介)

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2022年3月6日のニュース