大学時代に“勇気”くれた巨人・鍬原、東京Dで躍動する姿を再び

[ 2021年9月3日 09:00 ]

支配下復帰となり、笑顔を見せる鍬原(球団提供)
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 「ドラ1」右腕が帰ってきた。17年に中大からドラフト1位指名で巨人に入団した鍬原拓也投手(25)が8月30日に支配下選手に復帰。昨年8月に右肘を手術し、オフに育成選手として再出発していた25歳が登録期限ぎりぎりで滑り込んだ。

 背番号は「029」から昨季つけていた背番号「46」に。1年目は登板6試合で1勝2敗ながら、直球には手応えを感じていた。だが、2年目の秋にサイドスローに転向してからは「ストレートを打たれることが多くなった」という。手術後は、持ち味の力強い直球を求め「腕を上げて勝負したい」という気持ちが強くなり、今年1月の自主トレで阿部2軍監督に相談。「お前の悔いのないようにやればいい」と背中を押され、スリークォーターのフォームに戻した。

 5月に実戦復帰すると、同月に行われたBC・埼玉戦で151キロを計測。そして「7月ぐらいから自分の思ったボールが投げられるようになってきた」と手応えを得ていた。力強い直球を武器に8月22日のイースタン・リーグ楽天戦で7回2失点と好投するなどアピールを続け、支配下復帰を勝ち取った。

 同学年の記者は、拓大1年の春に初めて鍬原の投球を見た。リーグ戦で中大の投手として鍬原が登板。150キロ超の直球を投げ込む姿を神宮球場のスタンドから目撃し、「同い年でこんな凄い投手がいるのか」と衝撃を受けた。同時に、勇気ももらった。「トップレベルの野球を知りたい」と東都リーグに飛び込みながらも、チーム内にも相手にも甲子園球児だらけ。コンプレックスを抱いていた自分にとって、甲子園未出場でも1年春から堂々と神宮のマウンドに立つ鍬原を見て、頑張ろうと思ったことを覚えている。

 「もう一度チャンスをいただいたので、責任と自覚を持ってしっかりやっていきたい。手術前と変わらないストレートの強さ、変化球の緩急を見ていただければ」と鍬原。自慢の直球を東京ドームで早く見たい。(記者コラム・小野寺 大)

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