激闘×死闘×総力戦 阪神―西武3連戦に「伝説の予感」 この秋、矢野監督は宙を舞う!

[ 2021年5月31日 08:00 ]

交流戦   阪神9-8西武 ( 2021年5月30日    メットライフD )

<西・神(3)>2回、糸井(手前右)が右中間に2ランを放ち、ガッツポーズをする矢野監督(左から2人目)(撮影・坂田 高浩)
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 【畑野理之の理論】ものすごい試合だった。7回に2点を取って9―5とリードが広がったときには、正直、勝負あったと思った。しかし岩貞が3点を失い、岩崎もスアレスもヒヤヒヤ。辛うじて1点差を守り切った監督・矢野燿大は疲れ切った表情だった。

 リーグ優勝する年には、後に『伝説』に昇華する一戦が必ずある。

 ▼1985年 4月17日の巨人戦でランディ・バース、掛布雅之、岡田彰布が甲子園バックスクリーンに3連発。

 ▼2003年 9回に6点差を追いつかれた4月11日の巨人戦。7―1から2点を返され、なお2死一、二塁で仁志敏久をカウント0―2と追い込んだところで藤川球児が登板も中前適時打、さらに代打・後藤孝志に同点3ラン。延長12回に1点を勝ち越すも、その裏に再び追いつかれて8―8の引き分け。

 宿舎で監督の星野仙一は「きょうは俺の采配で勝てなかった。すまない」とわびた。翌12日は3回に一挙8得点して大勝し、快進撃がスタート。星野は後に「ズルズルいかずに選手たちはやり返した。今年のチームはイケると確信した」と振り返っている。

 ▼2005年 9月7日の中日戦。再三の審判団の判定を不服とした当時の監督・岡田彰布が選手をベンチに引き揚げさせて没収試合をにおわせるなど18分間の中断。延長11回に中村豊が決勝弾を放ち、ゲーム差を3としてそのままゴールへ飛び込んだ。

 同点の9回2死満塁のピンチでは、マウンドの久保田智之に、あの名言が。「メチャメチャにしたれ。俺が責任を取る」―。ジェフ・ウィリアムスと藤川、久保田の頭文字をとった『JFK』はこの年に誕生した。

 ▼2021年? 今年優勝するならどの一戦だろう…と探しながら、感じながら試合を見ている。4月9日DeNA戦での佐藤輝明の横浜スタジアム場外弾かな。いや5月2日の広島戦での逆転満塁弾での4番デビューもインパクトはあった。28日の西武戦で球団新人初の1試合3発がそれらを超えたか? それとも、この先、もっともっと大きなことをやってのけるのかも。怪物くんのスケールだけは本当に計り知れない。

 個人的な意見でここまでの候補を挙げてきたが、西武との今カードを激闘×死闘×総力戦で勝ち越したことにはチームの強さを感じる。秋に、宙を舞った矢野監督が「あの西武3連戦で確信した」と話しているような気がする。=敬称略=(専門委員)

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2021年5月31日のニュース