東京六大学野球で起こった珍事 四球のボールがベンチへ、打者は何塁まで行ける?

[ 2021年5月8日 19:47 ]

東京六大学野球・第5週第1日   立大4―2東大 ( 2021年5月8日    神宮 )

<東大・立大>8回1死、審判の判定を待つ東大・山崎(撮影・河野 光希)
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 「卍」のストライクポースで有名なNPB審判員・敷田直人氏からこんな話を聞いたことがある。

 「野球の試合で起こる97パーセントのプレーは誰でも正しい判定ができる。残りの3パーセントを正しく判定できることが、良い審判員の条件」

 8日に行われた東京六大学リーグ・東大―立大戦。一塁塁審を務めた宮田勝行審判員のジャッジでその言葉を思い返した。

 同点で迎えた8回1死無走者、東大の攻撃。代打の山崎康寛(4年・岡山朝日)は四球を選んだ。そして、その四球となったボールを捕手がはじき、三塁側に転がりそのままベンチに入ってしまった。「よっしゃー!」と喜ぶ東大ベンチ。打者の山崎は一塁をまわり、二塁まで到達。次のプレーが始まろうとしていた。

 公認野球規則にはこう記載がある。「5.06走者(b)進塁(4)(H)1個の塁が与えられる場合―…投手の投球が…ベンチに入った場合、ボールデッドになる。(I)四球目の投球が…(H)項規定の状態になっても、打者には一塁が与えられるにすぎない」※抜粋して表記

 つまり、打者に与えられるのは一塁。山崎が二塁にいることは規則違反だ。だが、球審の「プレイ!」が宣告される前に一塁の宮田塁審は二塁に到達していた山崎を呼び、一塁に戻るよう促した。

 公認野球規則は記録の項も含めると200ページを超える。グラウンドの空気に流されず、規則を正確に適用した宮田審判員は敷田氏の言葉を借りると「良い審判員」だ。(柳内 遼平)

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