エンゼルス・大谷 日本人最速更新トップタイ10号 プホルス時代の終わりを告げて時代の顔に

[ 2021年5月8日 02:30 ]

ア・リーグ   エンゼルス3―8レイズ ( 2021年5月6日    アナハイム )

<エンゼルス・レイズ>3回、日本人最速となる10号2ランを放つ大谷(AP)
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 エンゼルスの大谷翔平投手(26)が6日(日本時間7日)、レイズ戦に「2番・DH」で出場し、メジャートップに並ぶ10号2ランを放った。試合前、球団は歴代5位で現役最多667本塁打のアルバート・プホルス内野手(41)の事実上の戦力外を発表。一時代を築いたメジャー現役最年長野手との世代交代を意味する惜別弾は、節目の日本人選手最速10号となった。

 出会いがあれば、別れもある。感謝や寂しさだけではない。脳裏にはさまざまな思いが交錯した。1点リードの3回2死二塁。大谷の大飛球は、右中間席中段まで届いた。打球速度108マイル(約174キロ)、飛距離428フィート(約130メートル)。メジャートップに並ぶ10号2ランは決意の一発だった。

 試合前。突然の発表に全米の野球ファンが驚いた。球団は、現役最多667本塁打&3253安打のプホルスに対し「DFA(出場選手登録の前提となる40人枠から外す措置)」の手続きを行ったと発表。ペリー・ミナシアンGMはシーズン序盤の異例の決断理由を「ウォルシュを一塁手のレギュラーとして毎日見たい。そして、我々にはDHとして翔平がいる。プホルスは控え要員ではない」と説明した。他球団で現役続行を希望する41歳はこの日コメントを発することはなかった。

 18年の大谷加入前、プホルスは16年に123試合、17年は143試合にDHで先発出場した。DHを大谷に譲り一塁での先発出場が70試合と増えた18年は、登板日前後が休養日だった大谷に代わりDHでも47試合に先発出場。だが大谷は今季、「リアル二刀流」だけでなく、登板日前後も出場を続けている。外野起用が多かった4番のウォルシュは一塁で固定したい意向で、必然的にプホルスの居場所はなくなる。ジョー・マドン監督は「翔平が投打両方をここまでできると思っていなかった。もっと休ませなければいけないと思っていた」と吐露。規格外の活躍も、プホルスの「事実上の戦力外」の一因だった。

 世代交代を告げる一発は、日本選手最速の10号になった。チーム30試合、打者出場28試合目は日本選手歴代最速。04年のヤンキース・松井秀喜の53試合を大幅に上回り、5月での到達は初めてで、シーズン54発ペースだ。

 1918年のベーブ・ルース以来となる「2桁勝利&2桁本塁打」の一方を早くもクリア。チームは逆転負けで5連敗とプホルスショックはぬぐえない。だが大谷の一発には、尊敬するレジェンドの思いを背負う、新たなチームの顔としての覚悟が込められていた。(笹田 幸嗣通信員)

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