夢舞台に立つために…オリックス吉田正 “新型兵器”導入で打棒磨く日々

[ 2021年2月13日 09:00 ]

こけし形の「バレルバット」でティー打撃する吉田正尚
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 毎年この時期になると、必ず新しいことに挑戦する。オリックスの吉田正尚外野手(27)だ。今年は、本塁打になりやすいとされる打球角度と打球速度を表すバレルゾーンを探る練習用バット「バレルバット」を導入。移動時に取り入れたのは「一本歯のゲタ」だった。女子スピードスケート・小平奈緒が使用することで知られ、日常的に軸強化を図る。その姿を目撃した時には「バレましたね」。いたずらっ子のような笑みも好感を覚える。

 「常に良いものを取り入れようと思っています。まずはやってみて、良ければ、ということを考えています」

 実は、グラウンドを離れても“新型兵器”を導入している。外出自粛が続く宿舎に持ち込んだのが、電気治療器具「ハイチャージ」。通常の器具より高い通電効果があり、ミトコンドリアを活性化させることで自然治癒力の向上や疲労回復効果などが期待されるもの。「コロナもあって、いつもは部屋ではトレーナーさんにケアをお願いしていますが、やっぱり長時間は頼みづらいですし、自分でやれることは、できるだけ自分でやらないとと思いました」。高いプロ意識に驚かされる。

 「常に1番を目指して」。今夏に予定される東京五輪出場は悲願だ。今月9日、侍ジャパンの稲葉監督がオリックスの春季キャンプを視察。吉田正は、メイン球場の通路脇で指揮官と対面し言葉を交わした。19年秋の国際大会「プレミア12」での屈辱をバネに、昨季パ・リーグで首位打者のタイトルを獲得。成長を示した吉田正について、稲葉監督は「捉える確実性が増した。外国人投手はストライク先行で、投げてくる。自分の打てる球が来たら、しっかり捉える。ボール球を見極めることも大事で、そういうこともできますから。ああいう打者がいると相手バッテリーも嫌がるでしょうし、そういうところは考えています」と話した。

 高度な打撃技術を持つ球界屈指の好打者となった背番号34。。周囲の期待は高まるが、本人は「選ばれるか、どうか」と冷静に客観視している。東京五輪のベンチ入り選手は24人。外野手枠は更に絞られ、複数ポジションを守れるユーティリティー選手が重要視される傾向にあることを理解しているからだ。以前、「僕って“使い勝手”が悪いですよね」と言われた時には、胸が詰まる思いだった。

 「シーズンで、しっかり結果を残すこと。誰もが認める数字を出すしかないと思っています」。開幕から強烈なインパクトを残し続ける。チームを勝利に導く打棒を示し続ける。その先に、夢舞台が見えてくるはずだ。(記者コラム・湯澤 涼) 

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