ノルマは“最低”15勝 矢野監督がチェンに指令 阪神では優勝した05年下柳以来の「大台」目指す

[ 2021年2月9日 05:30 ]

矢野監督から15勝以上のノルマを課されたチェン        

 期待たっぷりの「15勝指令」だ。ロッテから移籍した阪神のチェン・ウェイン投手(35)が今キャンプ3度目のブルペン入り。投球 後には矢野燿大監督(51)から直々に「最低15勝頼む!」と高い“ノルマ”を課せられた。同じく新加入のラウル・アルカンタラ投手(28=韓国斗山)の来日が未定でも、日米通算95勝左腕がいれば心配無用だ。

 淡々とした自己評価とは対照的に、指揮官の期待は高まるばかりだった。チェンが今キャンプ3度目のブルペン入り。ほぼ全ての変化球を解禁し、最多の77球で調整を進めた。

 「まだ感覚を探している段階。今日は変化球も何球か入れたのですが、まだ真っすぐが納得いく球が投げられていないので。変化球はいい状態にはなったんですけど、それによって自分の持ち味がなくなるのは良くない。最後は真っすぐ中心に自分の感覚を取り戻すように投げました」

 1月14日に来日後、2週間の自宅待機。本格的に投げ始めたのは沖縄入りしてからだけに、まだまだ仕上がり途上を強調した。それでも、カーブ、チェンジアップ、ツーシームなど一通りの変化球を交えた投球は迫力十分。頼もしそうに見守った矢野監督は、投球後に思わず本音!?を伝えたことを明かした。

 「そらそうでしょ!そんな10勝ぐらいで、チェンに来てほしいと言うているんちゃうんやから!『15勝は計算してる』とは言ったけど」

 いくら百戦錬磨のベテランとはいえ、非常に高い“ノルマ”。チェンの反応を聞かれた指揮官は「笑っていたけど。俺には『もっと勝ちますよ』という笑いに見えた。いや、ウソウソウソ(笑い)。勝手にいいようにばっかり取っているけど」と期待を隠しきれない様子だった。

 チェン本人は「監督からは『最低15勝は頼むぞ』と。『計算しているぞ、それが達成できなかったら困るぞ』と言われたんで。そういう数字を達成できるに越したことはないですけど、1番はチームの勝利。それを頭に入れて調整したい」と、元大物メジャーリーガーらしい優等生コメント。それが逆に頼もしい。日本での最高は中日時代の10年の13勝ながら、14年にオリオールズで16勝を挙げている。阪神では、ともに優勝シーズンに記録した03年井川、05年下柳以来の“大台突破”も、現実味十分だ。

 矢野監督は「チェンしかできないことを経験している。日本語もあれだけうまいし、投球以外、勝つ以外にもチームに伝えられることがあるからね。来てくれて良かったなと思う」と改めて絶賛。実戦登板が待ち遠しい。(山添 晴治)

 ○…チェンは東京五輪の台湾代表での出場に意欲を見せた。4日に宜野座キャンプを視察した侍ジャパンの稲葉監督が警戒していたことを受け「まだ代表に入れるか、予選突破できるかも分からない状態」と前置きしながら「もし代表に選ばれて、投げられる機会があれば本当に楽しみ」と話した。中日時代から日本のファンも多い左腕だけに、実現すれば楽しみだ。

 ○…2000年以降、阪神でシーズン15勝以上の投手は03年井川20勝、05年下柳15勝の2人。ともにリーグ優勝の原動力となった。06年以降のセ・リーグを見ても、15勝以上の投手がいた優勝チームは(<>数字は最多勝)

06中=川 上<17>

08巨=グライシンガー<17>

09巨=ゴンザレス(15)

11中=吉 見<18>

12巨=内 海<15>

16広=野 村<16>

 〃 ジョンソン(15)

17広=薮 田(15)

18広=大瀬良<15>

19巨=山 口<15>

の15シーズンで9チームを数え、16~19年は4年連続。試合の少なかった20年も優勝した巨人の菅野14勝は143試合換算なら16勝ペースと、近年のセ・リーグ制覇には柱となる「15勝投手」の存在が不可欠となっている。

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