【惜別球人】阪神・横山 支配下復帰1カ月後の戦力外通告

[ 2020年12月29日 05:30 ]

15年5月21日の巨人戦で好投する阪神・横山
Photo By スポニチ

 出会いもあれば、別れもある。球界は別離と、新たな旅立ちの季節だ。楽天からドラフト1位で指名された155キロ左腕・早川隆久投手(22=早大)ら、育成選手も含めて新たに123人がプロの門を叩く。一方で、多くの選手がユニホームを脱ぎ、次なる人生をスタートさせる。年末恒例の「惜別球人」。今年は上下2回に分け、第1回はセ・リーグ編。

 「天国から地獄」だった。横山は期限ぎりぎりの9月30日に育成から2年ぶりに支配下選手に復帰。10月4日巨人戦で3年ぶりの1軍登板を果たしたが、1カ月後の11月4日に戦力外通告を受けた。

 「どうすれば来年1軍で通用するのか。このオフ、何か武器をつくろうと考えていた時だったんで…。正直、ショックでした」

 ただ、一方では「しょうがない」と思える自分もいた。今季、ウエスタン・リーグでは16試合で4勝2敗。防御率2.54はリーグ2位だった。それでも「今の自分の球は1軍で通用しないというのは心の中にずっとあった」と振り返る。

 自身も周囲も、あの幻影を追い続けた。14年ドラフト1位で入団。1年目の5月21日の巨人戦で7回1失点(勝敗付かず)の華々しいデビューを飾った。最大の武器は手元で伸び上がるような直球。多くの人に予感させた「未来の左のエース」への道は、相次ぐ左肩の故障に阻まれた。

 「1年目は衝撃だったと言ってもらえる。でも、ケガをしてからいろんなことを試してきたけど、2年目からはどうしてもあの球を投げられなかった」

 一瞬の輝きの後の長い苦悩の日々。それでも持ち前の明るさは失わなかった。今後はアカデミーで子供たちに愛されるコーチを目指す。(山添 晴治)

 ◆横山 雄哉(よこやま・ゆうや)1994年(平6)2月21日生まれ、山形県出身の26歳。山形中央、新日鉄住金鹿島を経て14年ドラフト1位で阪神入団。18年8月に左肩手術を受け、オフに育成選手契約。今年9月30日に支配下選手に復帰。1メートル83、84キロ。左投げ左打ち。

続きを表示

2020年12月29日のニュース