希代のナックルボーラー、フィル・ニークロ氏死去 48歳まで現役で通算318勝

[ 2020年12月29日 05:30 ]

ナックルを操り通算318勝を挙げたフィル・ニークロ氏(AP)
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 ナックルボールを武器にメジャー通算318勝を挙げた右腕フィル・ニークロ氏が26日(日本時間27日)、がんとの闘病の末に81歳で死去した。現役時代に所属したブレーブスが27日(同28日)に発表した。

 ニークロ氏は4年間のマイナー、陸軍従事の後、25歳だった1964年にブ軍でメジャーデビュー。父親に教わったというナックルを駆使し、48歳だった87年まで投げ続けた。67年から14年連続を含む19度の2桁勝利、最多勝2度、ノーヒットノーランも達成。ヤンキースに所属した85年は46歳で開幕投手を務めた。40歳以降の121勝、1977投球回はともにメジャー記録。79年には日米野球で来日した。

 現役時代に対戦したヤンキースの強打の外野手、故ボビー・マーサー氏は「打つのは箸でゼリーを食べようとするようなものだ」と大きく揺れ落ちる魔球攻略の難しさを表現した。一方、85年の最終登板だった10月6日のブルージェイズ戦では「ナックルなしでも勝てることを証明する」と、ナックルを封印して完封勝利したと大リーグ公式サイトが紹介。これがメジャー史上最年長となる46歳189日での通算300勝到達だった。同じナックルボーラーだった弟のジョー氏も通算221勝で、兄弟通算539勝もメジャー記録となっている。

 大リーグ機構のロブ・マンフレッド・コミッショナーが「投球以上に最も親切な人の一人として覚えている」と追悼。現役引退後は女子野球で監督を務めるなど球界発展にも貢献し、97年に米国野球殿堂入りした。「ナックジー」の愛称で一時代を築いた希代のナックルボーラーだった。

 ◆フィル・ニークロ 1939年4月1日生まれ、オハイオ州出身。ブリッジポート高を卒業後、58年にブレーブスと契約。64年にメジャーデビューした。84年以降、ヤンキース、インディアンスなど計4球団に所属。ゴールドグラブ賞、オールスターともに5度選出された。大リーグ通算864試合で318勝274敗29セーブ、防御率3・35、3342奪三振。シーズン300投球回を4度など通算5404投球回は歴代4位で、300勝&3000奪三振は過去10人のみ。97年に米国野球殿堂入り。

 ▽ナックルボール 変化球の一種。親指と小指でボールを挟み、残りの指を突き立てて握り、はじくように投げるのが一般的。ほとんど回転せず、打者に届くまでに不規則に揺れるように落ちる。球速は100キロ前後と遅いが、他の変化球に比べて速度が一定のまま変化するため、視覚効果で手元で加速するように見える。空気抵抗に大きく左右されるため、変化の予測がつかず、大きめのミットを使用する専属捕手が受けることが多い。

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