有原、レンジャーズ再建の一翼となれ カギを握る新球場

[ 2020年12月29日 10:30 ]

レンジャーズと契約した有原
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 日本ハムからポスティングシステムを申請してメジャー移籍を目指していた有原航平投手は、レンジャーズと2年総額620万ドル(約6億4500万円)で契約した。先発ローテーションの一角として期待されている。

 レンジャーズはこれまで、大物FA投手の獲得に最も縁遠いチームの一つとされてきた。その最大の理由が、前本拠地グローブライフ・パーク。夏には最高気温が40度前後となることもあるテキサス州アーリントンで、屋外球場という過酷な条件。加えて球場の構造上、本塁後方のスタンドで跳ね返った風が右翼上空へのホームラン風となりやすく、右翼席への本塁打が出やすい。ゴロを打たせても、長く灼熱の日照りでカチコチに固まったグラウンドは、まるで一昔前の人工芝のように打球速度が速かった。

 補強の足かせとなってしまっていた1994年開場のその前本拠地を球団は早々に諦めて、今年から新本拠地のグローブライフ・フィールドをオープンさせた。こちらは移動式屋根を持つ開閉式球場。エアコン完備で場内は常に気温22度前後と快適にキープされている。

 大リーグで球場が打者有利か投手有利かなどを見る「得点パークファクター」をたどれば変化が見て取れる。

 19年のグローブライフ・パークは、全球場中で2番目に高い1・245をマークした。それが今年のグローブライフ・フィールドは1・000で全30球場中16番目まで大きく順位を落とした。1・000を基準に、数値が高いほど得点が出やすい球場で打者有利で、低いほど投手有利とされている。

 ワールドシリーズでは多くの本塁打が飛び交う試合もあったが、感染対策で屋根が開かれていた。加えてドジャースの左腕カーショーがマウンドに立つのがやっとなほどの強風も吹き荒れていた。試合のさまたげになると、最終的には屋根が閉められた試合もあった。現地の気候を考えれば、恐らく大半の試合が屋根を閉めて開催される。

 投手には過酷すぎた環境が、果たしてどう変わったのか。今季は開催条件が変則的だったため、新球場の正しい評価にはまだ時間がかかりそうだ。20年は地区最下位に沈み、再建期に入ったチームが浮上するのにもまだ時間を要しそうだが、新球場の評価が以前ほど投手に不利なものでなければ、好投手獲得に苦戦続きだったレ軍のFA史も大きく転換する。再建の一翼を担い、新球場の顔となるような好投を期待したい。(記者コラム・後藤 茂樹)

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2020年12月29日のニュース