「阪神タイガース Women」前田桜茄 結ばれていた阪神との運命の糸

[ 2020年12月29日 09:30 ]

「阪神タイガース Women」創設メンバーの前田桜茄(球団提供)
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 阪神とは運命の糸で結ばれていた。12月13日、新たに発足した阪神の女子野球チーム「阪神タイガース Women」の創設メンバーが発表された。その中の1人、前田桜茄(はるか)外野手(24)は、阪神の1軍が春季キャンプを行う沖縄県宜野座村の出身だ。

 「小さい頃からタテジマ(のユニホームが)が村内にばーっと並んでいた。まさか自分が同じユニホームを着るなんて…」

 幼少期から宜野座キャンプに足を運んでおり、当時阪神に在籍していたランディ・メッセンジャーと写真を撮ったことが思い出。小学3年の時に姉の誘いで野球を始めると、高校は女子硬式野球部のある神村学園(鹿児島)へ進学した。14年7月に開催された日本女子プロ野球リーグの関西地区の入団テストに合格し、翌15年、東北レイア(現レイア)に入団した。

 その後17年に京都フローラに移籍。18年から所属した埼玉アストライアからシーズン途中に愛知ディオーネに移籍した昨季は、53試合に出場し主に1番打者だった。規定打席に16打席届かない116打席だったが、102打数30安打で打率・294。50メートル走6秒69の快速で10盗塁と武器の足もアピールしたが、シーズン後に「戦力外通告」を受けた。今季は兵庫ブルーサンダーズの女子硬式野球チームで主将としてプレー。洋菓子店などで働きながら生計を立て、夢を追い続けた。

 「(阪神の)名に恥じないようなことをしなきゃいけない。常に謙虚な姿勢で、女子野球の普及を考えながら日々できたらいいなと切実に思います」

 まだユニホームは発表されていないが、かつて憧れたタテジマを背負うことで、自然と背筋も伸びる。1メートル50と小柄だが、遠投は70メートルを超えるなど高い身体能力も兼ね備え、積極的なバッティングも持ち味だ。

 「野球をしている中で『かっこいい』は一番の褒め言葉だと思うので、そう思われたい」。愛くるしい笑顔がチャームポイント。野球では観客を魅了するプレーを披露してくれるのが楽しみだ。(記者コラム・須田麻祐子) 

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2020年12月29日のニュース