智弁和歌山で指導者デビューのイチロー氏 高い走塁技術を伝授 金言ばかりで選手が聞き入る

[ 2020年12月4日 16:45 ]

<イチロー氏智弁和歌山指導>智弁和歌山の選手に走塁技術の指導をするイチローさん(代表撮影)
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 昨年3月に現役を引退したイチロー氏(47=マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)が4日、甲子園で春1度、夏2度の優勝を誇る高校野球の強豪校・智弁和歌山で、選手指導を行った。指導は2日から始まり、3日目となったこの日で今回の指導は終了。今後については現状未定だ。

 濃密な3日間となった。初日となった2日は、イチロー氏からあえて声をかけず、選手を観察。いかに指導すべきか、じっくりと見極める日となった。2日目からは実際に指導を開始。さらに3日目となったこの日、午前11時過ぎにグラウンドに姿を見せると、「2日間、気を張っていたと思うけど、リラックスしてやりましょう」と選手に声をかけ、スタートした。自らもスパイクを履き、選手と一緒にランニング、ウォーミングアップなどこなし、気さくに話しながら指導した。

 内容は濃いものばかりだ。一塁ベース付近では選手たちの前で走塁の技術指導。スタートの切り方、帰塁、心構え、など技術論、精神論を細かく伝えた。選手からすれば、全てが金言だった。

 「なるべく動きはシンプルな方がいい。やらないといけないことが増えると野球は難しくなる」

 「僕は50パーセントの確率では盗塁は絶対にしない。真っすぐのタイミングでセーフになるタイミングを測る。変化球でセーフになる(タイミングを測るような)ことはしない」

「緊迫した時は全体を見る。筋肉が緊張するとパフォーマンスが下がる。それを避けたい。打撃でもリリースポイントだけを見ると緊張する。全体を見ようとする」

 惜しげもなく、自らの考えを披露するイチロー氏に対して、選手たちも真剣な表情で聞き入った。

 その後は、今秋のドラフト会議で、日本ハムから4位で指名された細川凌平内野手(18)と、2人一組になってフリー打撃を実演。日米通算4367安打を放った打撃を披露した。

 3日間の特別指導の中では、選手自ら自主トレーニング内容を決めるように指示する一幕もあった。イチロー氏が実演する中で選手が何を感じるか、教わった指導内容も踏まえて、改めて何に気が付くか、選手それぞれに問いかけたようだ。

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