イチロー氏 智弁和歌山で指導者デビュー “濃密3日間”フリー打撃も実演 選手には自ら考えること促す

[ 2020年12月4日 16:08 ]

<イチロー氏智弁和歌山指導>智弁和歌山の練習でキャッチボールする選手を見つめるイチローさん(代表撮影)
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 昨年3月に現役を引退したイチロー氏(47=マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)が4日、甲子園で春1度、夏2度の優勝を誇る高校野球の強豪校・智弁和歌山で、選手指導を行った。指導は2日から始まり、3日目となったこの日で今回の指導は終了。今後については現状未定だ。

 濃密な3日間となった。初日となった2日は、イチロー氏からあえて声をかけず、選手を観察。いかに指導すべきか、じっくりと見極める日となった。2日目からは実際に指導を開始。さらに3日目となったこの日、全体練習後に、選手自ら自主トレーニング内容を決めるように指示した。その中では、イチロー氏が実際に選手の前でフリー打撃を行う実演もあった。選手が何を感じるか、前日に教わった指導内容も踏まえて、改めて何に気が付くか、選手それぞれに問いかけたようだ。

 今回の指導の経緯は、2年前にさかのぼる。イチロー氏が一昨年の秋、智弁和歌山の試合を観戦し、熱心な応援に感銘を受けたことから、学校側と交流が始まった。昨年12月には草野球チーム「KOBE CHIBEN」を率い、智弁和歌山の教職員チーム「和歌山智弁」と、オリックス時代にプレーした神戸市のほっともっとフィールド神戸で対戦。「9番・投手」としてフル出場し、慣れない軟式球ながらも、投げては9回で16奪三振、打っても3安打するなど貫禄を見せつつも、草野球を楽しんだ。

 学生野球の指導には、原則としてプロ球団を退団する必要がある。だが、イチロー氏の野球界への功績の大きさや、アマ選手の獲得に携わる立場でないことを踏まえ、日本学生野球協会は特例を容認した。イチロー氏は昨年12月に学生野球資格回復制度の研修会を受講し、今年2月に資格を回復。マリナーズでの活動がないオフシーズンに限り、高校生や大学生への指導が可能となっていた。

 イチロー氏は11月26日に神戸市で行われた新聞大会の記念講演で、高校野球の魅力にも言及。司会者から「近いうちに学生に野球を教える姿は見られるか?」と問われて「見られると思います。引退はしたが、野球人として何かお返しできたら」と前向きに話していた。記念講演では「現役の時は追い込むことができなかったが、今はできてしまう。47歳で球が速くなった」と近況報告もしていた。

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