巨人・阿部2軍監督が実践する“考動”――昭和の指導×令和の改革

[ 2020年2月6日 06:45 ]

キャンプでノックを打つ阿部2軍監督(撮影・西海健太郎)
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 巨人・阿部慎之助2軍監督(40)が宮崎キャンプで精力的に動き、若手選手を鍛えている。5日、初の休日を迎えたが、昨季までの現役時代に「阿部番」として取材した青森正宣記者が、4日までの第1クールを密着して追いかけた。

 「技術じゃねえ、体力と根性だ!」。阿部2軍監督の声がグラウンドに響き渡る。現役時代のマスコットバットと同じゴールドのノックバットで、遊撃を守る捕手の田中貴と山瀬を三塁へ、二塁へ走らせる。絶妙に捕れるか捕れないか。「惜しい!」「もう一丁!」「ナイスプレー!」。30分間ノックを受けた2人は、クタクタだ。

 ティー打撃でも追い込む。選手に両足を広げさせ、監督自らトス。休む間を与えず次々にトスを上げ、最後はバットを振り切った状態で静止させ、「あと5センチ重心低く!」。足がプルプル震えるほど厳しい練習を課すのは入団当初にコーチだった内田順三氏の教えがあるからだ。「きついのは分かるけど、将来いいことがあるから頑張れ」と口酸っぱく言われ、バットを振り込んで結果を出した実体験ゆえの愛のムチだ。

 昭和のにおいが漂う指導法に、「令和の改革」も織り交ぜる。ランチタイムにベンチ裏に並ぶのはおにぎりやホットサンド、カットフルーツ。昨年まではビュッフェ形式だったが、「がっつり昼食の時間を取ると体が冷えて、またアップしないとケガしちゃうし、自分で考えて効率よく時間を使えるように」と手に取ってすぐ食べられるものに変えた。

 朝夜の2回あったコーチミーティングも朝だけに。コーチ陣が練習の合間に話し合い、翌日のメニューを決定することで夜は廃止した。数人で移動する車だと発生する待ち時間をなくすため、自転車移動も導入。ファームのブルペンでは投手が「スライダー、外、ボールで」などとストライクかボールも含めて予告する姿がある。改革から感じるのは、効率化と実戦を想定した練習。片岡2軍内野守備走塁コーチは「組織を変えようというのが伝わる」と証言する。

 毎日7時間以上動き回っている40歳の青年監督の熱量に、“阿部チルドレン”も、早速応えた。4日の「1軍VS2、3軍」の紅白戦。決勝の2点打を放ったドミニカ共和国出身の育成・モタ、3安打した育成3年目の笠井、2安打した3年目の大型外野手・村上らの活躍で7―1で快勝し、下克上を果たした。

 1軍相手に初陣を白星で飾った後、「何で打てたのか、メモに残しておけ」とナインに宿題を課した。その姿を見て、以前「みんな、何で打てなかったのかは考えるけれど、何で打てたのかは考えない」と言っていたことを思い出した。“結果に満足するだけで終わらせるな、常に考えろ”というメッセージ。まさに、2軍のスローガン「考動~苦しい方を選べ 迷ったらやれ~」の通りだと感じた、キャンプの第1クールだった。

 ≪初陣は3.14イースタンL開幕戦、VS松井監督率いる西武≫イースタン・リーグは3月14日に開幕し、阿部2軍監督率いる巨人は本拠地のジャイアンツ球場で西武と激突。就任2年目を迎える松井2軍監督が新人監督を迎え撃つ。DeNA・三浦ファーム監督とヤクルト・池山2軍監督は、就任1年目同士の対決となる。

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