阪神・高橋遥、自己最長8回零封で2勝目 “空白の夏”取り返した

[ 2019年7月8日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神1―0広島 ( 2019年7月7日    甲子園 )

力投する高橋遥(撮影・坂田 高浩)
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 阪神・高橋遥人投手(23)が、7日の広島戦(甲子園)で自己最長8回を4安打9奪三振無失点の好投で5月30日以来となる今季2勝目を手にした。若き左腕の快投でチームは同一カード3連勝で貯金1。最高のムードで8日から首位・巨人との3連戦を迎える。 空白の夏”を取り返す力投だ。114球を投げ、今季2勝目を手にした高橋遥は手応えを隠さなかった。

 「後半失点することが多いので、8回投げられたのは自信になりますね」。最速148キロの直球と直前まで同じ軌道を通過する宝刀・ツーシームを武器に、広島打線に三塁を踏ませず、長打も1本も許さなかった。

 マウンドで滴る汗をぬぐうことすら嬉しい。左肘の不調でリハビリに入っていた昨年の8月下旬。筋トレを終えて、鳴尾浜球場の出入り口を横切るときに耳に入ってきたのは、BGMで流れていた森山直太朗の名曲「夏の終わり」だった。裏声を駆使して「夏の終わり~夏の終わりには…」とサビの部分を口ずさむと、自分に突っ込んだ。「夏、野球やってねぇ…」。自嘲気味に発した言葉には苦闘がにじんだ。

 昨年は4月からローテ入りも左肩の故障で6月10日を最後にマウンドから遠ざかり、7月からは本格的なリハビリに突入した。「遠征にも行かず、他の投手のチャートを付けて、ずっと寮にいて…。みんな野球をやってるのに、自分は何をやってるだんだろう、って最初はずっとそんなことを考えてましたからね」。毎年、大粒の汗をかきながらマウンドで腕を振っていた左腕にとって、初めて経験する「我慢の夏」になった。

 鈍い心を動かしたのは、復帰を信じる鳴尾浜のファンの存在だった。「投げるの待ってます、とか声をかけてくれて…。あれは本当に励みになりました」。さらに、隣を見れば、自分よりはるか前から地道なリハビリに取り組む横田、横山の姿。「自分よりずっと前からリハビリをやってるのに。2人が黙々とトレーニングをしているのを見て、しっかりやらないといけないと」と前を向けた。

 3日前、その横山が425日ぶりに実戦登板を果たした。遠征には行かず、鳴尾浜で残留練習に参加していたため、ファーム投手陣とモニターにかじりついて先輩の復帰を見守った。「めちゃくちゃうれしいですよ…。一緒にリハビリもしていたので。横山さんの投げている姿を見られて、力になりました」。

 勝利に貢献する充実感、仲間の奮闘、そして力強い腕の振り――。1年前にはなかった刺激的な夏を走り抜ける。(遠藤 礼)

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2019年7月8日のニュース