明大 38年ぶり日本一!今秋ドラ1候補・森下が圧巻10K1失点完投でMVP

[ 2019年6月18日 05:30 ]

第68回全日本大学野球選手権最終日   明大6-1佛教大 ( 2019年6月17日    神宮 )

<仏教大・明大>優勝し、歓喜の輪を作る森下(左上)ら明大ナイン(撮影・吉田 剛)
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 平成で勝てなかった名門が令和初代王者に輝いた。決勝が行われ、明大が佛教大を6―1で下し、38年ぶり6度目の優勝。1981年(昭56)以来の悲願達成となった。今秋ドラフト1位候補でエースの森下暢仁投手(4年)が10三振を奪い、1失点で完投。最高殊勲選手賞と最優秀投手賞の2冠に輝いた。明大は今年1月の大学選手権を22年ぶりに制したラグビーに続き、野球でも日本一をつかんだ。

 エースは神宮の空に人さし指を掲げると、跳び上がって恋女房の西野に抱きついた。9回2死二塁。森下は最後の打者を146キロ直球で空振り三振に仕留めた。10K締め。38年間開かなかった日本一への扉を開いた瞬間だった。

 「大学野球が終わった気分」。全105球。力を出し切ったから、そう思った。「今日勝てば明治大学野球部が幸せになると思って投げた」。これは主将としての言葉だった。

 勝負どころは3―0の6回1死二塁。初めて得点圏に走者を背負った。佛教大は3試合で3点差をひっくり返してきた。「絶対に抑えないと流れが行く。気持ちを出していこう」。ギアを一気に上げた。150キロ、149キロで連続空振り三振。「逆転の佛教」を力でねじ伏せた。9回にもこの日最速タイの152キロを計測した。

 4位に沈んだ昨秋のリーグ戦後。主将に就任予定だった主砲の北本が故障したため、森下が重責を担うことになった。エースと主将という二重の重圧。それが成長につながる。寮の掃除では歴代主将が担当するトイレ掃除に率先して取り組んだ。これまで打たれるとふてくされる時もあったが今季は誰よりも先頭に立ち、声はいつもかれていた。メンバー入りした1年生にも積極的に声を掛けた。単純な優しさだけでなく「1年生も積極的にやってもらわないと困るから」。常にチームの勝利を考えていた。

 今年からOBでドジャース傘下マイナーでもプレーした投手出身の西嶋一記コーチから投球術を教わり、課題のクイックも克服した。「首脳陣やOBの方々にここまで成長させてもらって感謝しています」。前夜は81年優勝メンバーから差し入れられたメロンを食べ、迎えた決勝。野球殿堂入りの杉下茂氏らOBが見守る中で、エースの投球を見せた。

 優勝会見では善波達也監督に「ドラフトに向けて何か言っちゃえ」と背中を押され「高校生に負けないようにしたい。大学4年間も悪くない」とプライドをのぞかせた。さらに「秋のリーグ戦、明治神宮大会も優勝する」。大学No・1投手は4冠を手にし、プロに向かう。(松井 いつき)

 ≪優勝6度は駒大と並んで史上2位≫優勝回数は法大が最多で8度。明大は駒大と並ぶ2位の6度となった。4位は早大の5度で、立大、東洋大、東海大、青学大、近大、亜大が4度、慶大、中大、東北福祉大が3度制している。

 ◆森下 暢仁(もりした・まさと)1997年(平9)8月25日生まれ、大分県出身の21歳。小3から野球を始め、大東中軟式野球部では投手兼遊撃手で全国大会出場。大分商に進学し1年夏に甲子園出場。2年秋からエースで3年夏は大分大会準優勝。侍ジャパンU―18代表入り。明大では1年春からリーグ戦に登板し13勝9敗、防御率2.78。2、3年時に大学日本代表。1メートル80、75キロ。右投げ右打ち。

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