三省堂 カープ版国語辞典に創意工夫 用例に選手名も「辞書をひくモチベーションに」

[ 2019年2月15日 10:00 ]

装丁のみならず、内容もカープ仕様の「三省堂国語辞典 第七版」
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 「三国(サンコク)」の愛称で親しまれる国語辞典をプロ野球・広島カープ版に変えた「三省堂国語辞典 第七版 広島東洋カープ仕様」(3000円+税)が3月上旬に発売される。装丁のみならず、用例(例文)もカープ仕様で選手名も登場。三省堂に企画意図や出版にあたっての創意工夫を聞いた。

 辞書のケース、ビニール表紙、見返し、扉など、装丁は丸ごとカープ版。ペットマークのカープ坊や、球団ロゴ、ビジターロゴ、Cマーク、球団旗を大胆に取り入れた。

 装丁のみならず、内容もカープ仕様。三省堂社内の鯉党から募ったアイデアを取り入れながら、熱量あふれるオリジナル用例(例文)を書き下ろし。「鯉」という項目は「(2)広島東洋カープのこと」、「樽」という項目は「カープを救った――募金(ボキン)」などと、楽しめる。

 昨年3月に阪神タイガース仕様の「三国」を出版したが、三省堂は「“出版不況”と言われ続けて久しいですが、辞典ジャンルについてもデジタル化、少子化の影響を受けております。普段から書店に通う習慣のない人に、どうしたら辞書を手に取っていただけるか、デジタルにはない魅力をどのように提供するかを考えた時、スポーツ、とりわけ野球という最もメジャーなスポーツのファンに訴求したいと考え、『三省堂国語辞典 第七版 阪神タイガース仕様』を発売しました」と説明。

 その結果「とりわけタイガースファンの皆さまから『これを機に、数十年前の古い国語辞典を買い換えた』『複数冊買ってファンの知人に配った』といった歓迎のお声を数多く頂き、新規需要の開拓に寄与する商品となりました」。国語辞典としてはヒットの4万部を売り上げた。

 そして「次はカープ版辞書を」という声が相次ぎ「そのような強い声に押される形で、昨年、リーグ3連覇という歴史的快挙を成し遂げた広島東洋カープのファンに喜んでいただけるような企画を立案し、商品化することになりました」と経緯を明かした。

 タイガース版の用例(例文)は3つ。好評を博したが「もっと増やしてほしい」という要望を受け、カープ版は「国語辞典としての実用性と、カープ版らしさとのバランスをめぐって慎重に検討を行った結果、オリジナル用例を拡充させるという結論に至りました。国語辞典としての実用性を保ちつつ、ファンの皆さまに喜んでいただけるようなエンターテインメント性を1つの商品に両立させることに、とりわけ気を使いました」と腐心。

 三省堂社内の広島ファンからアイデアを募ってカープ版の用例を増やし「カープにまつわる文物や人物に言及した、チームを愛する気持ち全開のオリジナル用例はファン必見の内容です。オリジナル用例を探すことが、辞書をひいていただくモチベーションにつながればと願っています」とアピール。

 誰もがレジェンドと認める選手名も掲載されており、「炎」という項目を引くと「〔心の中でもえあがる〕はげしい気持ち。」という語釈とともに、用例に「――のストッパー〔=津田恒美〕」と1982年に球団初の新人王、89年に最優秀救援投手に輝いた名投手が登場。選手名が用例に記載されるのはタイガース版にはなかった試みで、津田さんのほか、カープ版辞書に散りばめられた伝説のプレーヤー(11の用例)を探した人にオリジナルノベルティーグッズが抽選で当たるプレゼント企画が実施される予定。カープ版もタイガース版と同じ初刷2万部からヒットを狙う。

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2019年2月15日のニュース