阪神ドラ1近本は五輪銀級の足 朝原氏が評価「山県に似ている」

[ 2018年11月27日 05:30 ]

阪神ドラフト1位の近本
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 大阪ガスの陸上部副部長で北京五輪400メートルリレー銀メダリストの朝原宣治氏(46)が26日、同社所属で阪神からドラフト1位指名された近本光司外野手(24)の走塁を分析。初速と足のピッチ(回転数)がリオ五輪400メートルリレー銀メダリストの山県亮太選手(26=セイコー)に似ていると評価した。トップアスリートの先輩としては、自分流のバロメーターをつくることの重要性を説いた。

 近本の走力を知る上で、これ以上ないお墨付きをもらった。同じ大阪ガス所属という縁で、北京五輪の銀メダリストの朝原氏がその実力を徹底分析。今秋の日本選手権の映像を見て引き合いに出したのは、これまた日本有数の快速ランナー・山県だった。

 「山県選手はスタートブロックを(意識的には)蹴らないんですが、近本選手も地面を蹴って進むというよりは膝が伸びきらずに体重が移動するので(走りが)似ている」

 まず朝原氏が着目したのは、盗塁直後の体の動きだった。多くの選手はスタート時に地面を蹴るようにして走りだす。しかし、近本の場合は足で蹴り出すというより、腰や臀部(でんぶ)など体の中心部分から力が発揮されているという。そのため、体重移動がスムーズとなるだけでなく、全身が連動。足が回転していくためのトップスピードに乗るのも早く、この一連の動きが山県と重なる。

 「塁間を(速く)走るのにはいい。ピッチが速くて馬力がある走り。ここまで野球選手でピッチが出る人はいないんじゃないかと思います」

 球界ではトップクラスの50メートル走5秒8という俊足を、専門的な視点で解説した。その長所を端的に表現すれば「初速が速い」。プロ入り後に実戦での判断力を磨いていけば、猛虎のレジェンド・赤星憲広氏(本紙評論家)に匹敵する活躍も期待できる。その一方で注意点を挙げることも忘れなかった。

 「スピードが出るということはそれだけ体に負担がかかるので、ケガをしやすい。打撃フォームだけではなくて、日々、走るほうのフォームもチェックしてもらって動きが変だなと思ったら気をつけたほうがいい」

 36歳まで現役を続けた走りのエキスパートは、近本が長い現役生活を送るための助言も付け加えた。

 フィールドは異なるとはいえ、トップレベルの世界で戦い抜くことに変わりはない。自分なりの考え方やパフォーマンスの精度を知っておく必要があることを強調した。「自分の中でバロメーターをつくって自分の状態を知るというのが必要です」。まずは己を知るところから。銀メダリストからの金言が、その背中を後押しする。(長谷川 凡記)

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