大谷は「努力の男」 課題克服への取り組みが続けられることがその凄み

[ 2018年8月18日 10:00 ]

16日のレンジャーズ戦1回無死一、三塁、中前適時打を放つエンゼルス・大谷(撮影・会津 智海)
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 「努力の男」。エンゼルス・大谷を日本ハム時代から取材し続けて5年目になるが、形容する言葉はそれが一番しっくりくる。

 右肘の故障を経て、7月3日のマリナーズ戦から打者で先行復帰。同月は3本塁打を放ちながらも、メジャー自己ワーストの15打席連続無安打を経験するなど不振に苦しんだ。同31日のレイズ戦後。現状について「停滞と思っている」と表現しながらも「目先の一本が欲しくなるけど、長期的に見て何が大事なのかも凄く大事」と語った。全ては「世界一の選手」になるため。自身の課題克服に懸命に取り組んでいた。

 この時の課題とは何だったか。打者復帰後も続けていたのは球場施設内ケージでのマシン打撃だった。練習を見守るエリク・ヒンスキー打撃コーチは「ケージではマシンで左投手のカーブを打つ練習をよくしている。実戦で対応できるように取り組んでいる」と説明。日本ハム時代は苦にしなかった左投手相手に結果が出ない。その事実に真正面から向き合っていた。

 その努力は徐々に実を結ぶ。7月は月間打率・203(64打数13安打)だったが、8月は16日時点で同・324(34打数11安打)。緩い球を打ち続けたことで、体を開かず、内側からバットを強く押し込む本来の打撃を取り戻しつつある。

 6日のタイガース戦は左腕ボイドに3打数無安打など結果は出なかったが、下を向くことはなかった。「結果に関して“偶然”はほぼない。何かしら原因がある。その中で打てないという結果よりもアプローチ的に良くはなっているので、凄く進歩している部分はある」と力強く語った。

 才能だけで二刀流は成し遂げられない。右肘の故障に見舞われた投手でも努力を重ね、きっと進化して帰ってくるに違いない。反省を生かし、次に向けて最高の準備を整える。大谷の凄みはこれを続けられる努力だと感じている。(記者コラム・柳原 直之)

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2018年8月18日のニュース