【岡山】おかやま山陽 勇気の1勝 豪雨被災地支援とともに聖地目指す

[ 2018年7月15日 05:30 ]

第100回全国高校野球選手権岡山大会1回戦   おかやま山陽3―0岡山工 ( 2018年7月14日    倉敷マスカット )

<岡山工・おかやま山陽>試合後、応援団が陣取るスタンド前に整列したおかやま山陽の井元主将(左)
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 初戦を突破した試合後、一塁側応援団の前に整列するおかやま山陽ナインが笑顔を見せることはなかった。

 「1勝できて良かった。最後まで諦めずに全力でプレーすることを心掛けました」。4番で主将を務める井元は言った。自宅は西日本豪雨により最も甚大な被害を受けた真備町地区にある。自宅の壁に残る浸水の跡は1メートル79の背丈を超える。この日も家族で身を寄せる総社市内の親戚宅から会場入りした。

 被災直後は故郷を襲ったあまりの惨状に野球のことが頭から消えた。家族や隣人、友人の後押しを受けながら心に整理をつけてチームに戻ったのは今月10日。その後も練習の傍ら、部員と被災地を回った。練習不足から今春のセンバツで本塁打を放った豪打は影を潜めたが、初回2死一塁から左前打を放つなど2安打。懸命にチームを引っ張った。

 「全員で被災地に片付けに行きます」。次の2回戦まで中3日。部員111人全員が勝利の余韻をかみしめることなく、きょう15日から再び被災地支援と練習の生活に戻る。

 「(勝って)おめでとうと言ってあげたいけど、そんな雰囲気じゃない」と言うのは堤尚彦監督。未曽有の大災害をもたらした西日本豪雨。敵も味方も何らかの傷を負っている。そんな中、始まった教え子の被災地支援。大会期間中の貴重な練習時間を削っての活動になるが「街の人の生命力いうんですかね。負けるもんか!そういうエネルギーを自分らがもらってます」と静かに見守っている。

 3季連続の甲子園出場を目指す道は、被災地の人々と歩む復興への道となる。

 ▽おかやま山陽 1924年に創立された生石高等女学校を前身とする私立校。2002年に現校名となる。野球部は1949年創部で、2017年夏に甲子園初出場。今春センバツでも初出場を果たした。主な卒業生には諸見里しのぶ、上原彩子(ともに女子プロゴルファー)、仁科時成(元ロッテ)、藤井皓哉(広島)、知念広弥(台湾・統一)ら。

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2018年7月15日のニュース