巨人・亀井善行 いぶし銀の働きで9年ぶりの規定打席到達へ

[ 2018年7月15日 10:00 ]

巨人の亀井
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 【宮入徹の記録の風景】見事な復活シーズンだ。巨人の亀井は今季前半戦終了時まで71試合に出場。打率・298でリーグ13位につけている。05年のプロデビュー以来、規定打席に到達したのは09年に打率・290(11位)で記録した1度だけ。今季クリアすれば9年ぶりの返り咲きになる。

 09年は25本塁打、71打点といずれも自身最多の数字をマーク。日本シリーズでは優秀選手賞を受賞するなどチームの日本一に大きく貢献した。それでもレギュラーシーズンの得点圏打率は・277でリーグ17位。それが今季は走者得点圏で・439とリーグトップに立っている。セ・パの規定打席到達者60人中、4割台は亀井と坂本勇(巨人=・411)の2人しかいない。勝負強い打撃は特筆ものだ。

 過去60年間でシーズン得点圏打率が4割を超えたのは両リーグを通じ41人。1人で2度マークした打者はおらず、難しい記録であることが分る。巨人では61年長嶋茂雄・429、73年王貞治・481、84年篠塚利夫・400、07年高橋由伸・409と4人。亀井が同僚の坂本勇とともに大台を目指す。また、亀井は今月28日に36歳を迎える。41人の得点圏4割打者の年長ランクは(1)72年アルトマン(ロッテ=・434、39歳)(2)81年大杉勝男(ヤクルト=・465、36歳)(3)80年基満男(横浜=・412、34歳)(3)94年オマリー(阪神=・426、34歳)。こちらは亀井に年長2位タイの記録が懸かる。

 勝負強さといえば、亀井はプロ通算のサヨナラ本塁打が歴代11位タイの6本。通算本塁打は78本だからサヨナラ本塁打の比率は7・7%になる。6本以上サヨナラ本塁打を記録している打者のサヨナラ弾比率としては矢野清(阪急)の9・4%(64本中6本)に次いで高い。参考までに通算868本塁打の王のサヨナラ本塁打は8本。比率にすると0・9%にしかならない。

 さらに亀井はサヨナラ本塁打6本のうち延長戦で5本。延長サヨナラ本塁打の通算最多は清原和博(オリックス)の6本で5本は毒島章一(東映)、広沢克己(ヤクルト)、井口資仁(ロッテ)と並ぶ歴代2位タイの本数だ。亀井は5本以上で唯一の現役。今後記録を伸ばせるか注目したい。

 もうひとつ亀井が狙いたいのが全打順本塁打。ここまでの打順別本数は1番4本、2番10本、3番1本、4番5本、5番26本、6番13本、7番12本、8番2本、9番0本、途中出場5本。先発9番は通算5試合で19打席経験しているが本塁打はない。過去に全打順本塁打を達成した打者は11年後藤光尊(オリックス)まで9人。この中でパ・リーグのみの在籍選手が5人、セ・パ両リーグに在籍した選手が4人となっており、セのみの在籍選手が達成すれば初の快挙になる。

 もっとも、巨人はDeNAのように先発9番に野手を使うケースはまずない。記録達成には来季以降のセ・パ交流戦を待つしかないだろう。ただ、今季巨人の坂本勇は出場81試合中67試合先発1番を務め、リーグ1位の打率・3322。得点圏打率も前述した通りリーグ2位の・411とチャンスに強い。9番亀井、1番坂本勇とつながれば相手チームにとって脅威そのもの。DeNA方式は今の巨人にしっくりくるのでは、と思ってしまう。(敬称略、専門委員)

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2018年7月15日のニュース