大谷、前半戦絶望…右肘じん帯損傷で最悪手術 昨年10月より悪化

[ 2018年6月10日 05:30 ]

6日のロイヤルズ戦で右腕を気にする大谷(撮影・大塚 徹)
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 エンゼルスの大谷翔平投手(23)が8日(日本時間9日)、右肘の内側側副じん帯の損傷で自身初となる10日間の故障者リスト(DL)に入った。既に「PRP(多血小板血しょう)注射」による治療を受け、3週間のノースロー調整が決定。投手としての前半戦の復帰は絶望的で、DHとしてファン投票に候補入りしている7月17日(同18日)のオールスター戦出場も微妙になった。

 マイク・ソーシア監督は沈痛な表情で大谷の離脱について語った。「2つの大きなパーツを失った。マウンドでの活躍ぶりは特別なものだったし、左打者としても本当に重要だった」。先発投手として4勝、防御率3・10、中軸打者として打率・289、6本塁打。投打で代え難い「2人分」の戦力だった。

 6日のロイヤルズ戦で右手中指のマメが悪化し、4回1失点で降板。電話会見に応じたビリー・エプラーGMは「降板し、アドレナリンが収まったら肘が張ってきたと大谷が言ってきた」と経緯を説明した。7日にロサンゼルスでPRP注射を受け、この日からの敵地ツインズ戦の遠征には同行せず。3週間はボールを投げずに調整し、再検査後にその先の方針を決める。

 じん帯損傷には3段階あり、球団によると今回は「グレード2」で部分断裂などしていても肘は機能する状態。ヤンキースの田中は同じメジャー1年目の14年、部分断裂と診断を受け、PRP注射を経て復帰した。手術は受けず、その後は大きな故障もなくローテーションを守っている。

 一方で、大谷は日本ハム時代の昨年10月にもPRP注射を受けたが、球団公式サイトなどによれば、当時は最も軽度の「グレード1」だった。滑りやすいとされるメジャー公式球や硬いマウンドなどの影響で、右肘への負担が増して悪化したとも考えられる。エプラーGMは「このままの治療で回復できれば」と語ったものの、最悪の場合は、じん帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)を受ける可能性もある。

 DHで出場を続けることは可能だが、現時点で球団は否定的だ。エプラーGMは「そういうふうに(DH中心の)選手として育ってきていないし、我々もそういう形で使いたくはない」と説明。加えて「変なスイングをしてしまったり、他の原因などで患部に少しでも悪影響を及ぼすかもしれない」とアクシデントを懸念した。

 伝説のベーブ・ルース以来となるメジャー100年ぶりの同一シーズンでの「2桁勝利&2桁本塁打」に向け、快進撃を続けてきた二刀流。その快挙達成に暗雲が立ち込めた。

 ▽PRP注射 血液から血小板を大量に含んだ血しょうを取り出して注入し自己治癒力を利用した治療法。自分の血小板で組織の修復や再生を図るため副作用が少なく、アレルギーや感染症も最小限だとされる。投手の肘の場合は重症だと効果が小さく、復帰まで1年以上を要するじん帯再建手術を行う。スポーツによる障害のほか、一般的にも膝の変形などの治療に用いられている。

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