阪神ドラ2高橋遥「100点」デビュー ネガティブ男がセ界新人一番星

[ 2018年4月12日 09:05 ]

セ・リーグ   阪神4―1広島 ( 2018年4月11日    甲子園 )

<神・広>プロ初登板で初勝利を挙げ、金本監督(左)から祝福される高橋遥
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 阪神のドラフト2位・高橋遥人投手(22)が11日、広島戦にプロ初登板初先発し、7回を2安打無失点に抑えてプロ初勝利を挙げた。リーグ覇者を相手に二塁も踏ませぬ快投。阪神の新人が本拠・甲子園で先発デビューし、初勝利で飾ったのは1959年の村山実以来59年ぶりの快挙となった。セ・リーグの新人では一番乗りの白星となり、チームは昨年5月27日以来319日ぶりとなる単独首位に立った。

 どこまでも「ネガティブ」だった男が王者をねじ伏せた。高橋遥が7回2安打無失点で堂々の初勝利。衝撃デビュー後に上がったお立ち台で、照れ交じりに喜びを表した。

 「新人の高橋遥人です。宜しくお願いします! (投球に)100点あげても良いんじゃないかなと思います。思い切り投げて0点で抑えられたので」

 初々しく「0」を並べた。2回2死から安部に2球連続で頭部付近へのボール。それでも動揺することなく、空振り三振に仕留めた。ベンチに戻ると金本監督から「緊張してんのか?」と笑顔で話しかけられ、発奮。野手から声をかけられる度に帽子を取って会釈するなど新人らしさを見せつつ、その剛球には貫禄すら漂った。

 「俺なんか通用しねえよ…。打たれるに決まってる…」

 ドラフト後、亜大の同僚達に常々そう漏らしていた。在学時から不振が続くと「俺が悪い…。もう野球辞めようかな…」と弱音を繰り返し、周囲から励まされるという「ネガティブキャラ」。学生野球最後のマウンドとなった昨年11月の東洋大との東都大学野球優勝決定戦では、ピンチで登板して5球連続ボールで即降板という屈辱。プロ入り前は不安しかなかった。

 そんな高橋遥に勇気を与えたのは金本監督ら首脳陣からの言葉だ。「どこにいっても良いから思い切り投げろ。打たれても四球でも良い」。救われた。武器である直球を全力で―。原点回帰を貫いたこの日の試合後、「凄いワクワクした気持ちで。楽しんで投げられました」と言った。終始照れくさそうだった取材の中、この瞬間だけは、堂々と、誇らしげだった。

 一度は諦めた道だった。常葉学園橘高時代にプロ志望届を提出するも指名はなし。「もういいかなと思いました。限界も感じていましたし…」。地元・静岡の一般企業で軟式野球をすると決めた。だが、当時の黒沢学監督から亜大への進学を勧められ、周囲に相談。両親からも「“どっちでも良い!”でも、どうせやるなら自分の成長できるところでやりなさい!」と背中を押され、進学を決めた。運命の分かれ道。左腕が下した大きな決断が、虎の新星誕生へとつながった。(巻木 周平)

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