阪神ドラ2高橋遥 村山実以来59年ぶり快挙…自信なかったプロ入りで大仕事

[ 2018年4月12日 08:30 ]

セ・リーグ   阪神4―1広島 ( 2018年4月11日    甲子園 )

<神・広>2回1死、高橋遥は堂林を遊ゴロに打ち取る
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 阪神のドラフト2位・高橋遥人投手(22)が11日、広島戦にプロ初登板初先発し、7回を2安打無失点に抑えてプロ初勝利を挙げた。リーグ覇者を相手に二塁も踏ませぬ快投。阪神の新人が本拠・甲子園で先発デビューし、初勝利で飾ったのは1959年の村山実以来59年ぶりの快挙となった。セ・リーグの新人では一番乗りの白星となり、チームは昨年5月27日以来319日ぶりとなる単独首位に立った。

 王者・広島に仁王立ちした姿とは対照的だ。甲子園のお立ち台。鮮烈なデビューを飾った高橋遥は、照れた表情で自己紹介した。

 「亜細亜大学出身の新人の高橋遥人です。よろしくお願いします!」。初々しい、あいさつを済ませた22歳は笑顔で自分を褒めた。

 「100点あげても良いんじゃないかなと思います。思い切り投げて、0点で抑えられたので」。2回2死から安部に2球続けて頭部付近へ投げた。ベンチに戻ると、金本監督から「緊張してんのか?」と言われ、発奮した。左腕は「ストレートがなかったら抑えられない」と指揮官がほれ込む直球で真っ向勝負した。最速は147キロ。力を抜いた状態から、リリースの瞬間に強く腕を振る。だから切れが増す、わずか2安打。無四球の84球で7回を投げ抜き、二塁を踏ませなかった。

 マウンドの頼もしい姿から想像できない「ネガティブキャラ」。常葉学園橘時代にプロ志望届を提出するも指名はなく「限界も感じて…」と夢を断念。地元・静岡の一般企業で軟式野球をすると決めた。周囲に背中を押されて亜大に進学。しかし不調が続くと「野球やめようかな…」と弱音を繰り返し、周囲から励まされたという。学生最後のマウンドは昨年11月の東洋大との東都大学野球優勝決定戦。ピンチで登板して5球連続ボールで即降板という屈辱だった。だから「正直、“自信がある”とは言えません」とプロ入りは不安しかなかった。

 そんな新人に勇気を与えたのは、金本監督の言葉だった。「どこにいっても良いから思い切り投げろ。打たれても四球でも良い」。救われた。プロ初登板で自慢の直球で押し、指揮官も「1月の自主トレのときのピッチングを見て、これぐらいいきなりやるんじゃないかなと。ナイスでした」と目を細めた。

 チームを単独首位に浮上させた虎の新星。かつての左のエース・井川が背負った「29」を託された逸材は「凄いうれしいのと、まだ信じられない」と歓喜に浸った。手に握りしめたウイニングボールはこの日観戦した両親にプレゼントする。 (巻木 周平)

 《先発では6人目》ルーキーの高橋遥(神)がプロ初登板で勝利。阪神新人の初登板初勝利は16年6月1日楽天戦の青柳以来2年ぶり15人目。甲子園に限ると川尻哲郎が95年4月28日のヤクルト戦で中継ぎとして勝っているが、先発では59年4月14日に国鉄を完封した村山実以来59年ぶり6人目となった。

 《セ新人一番乗り白星》今季、新人の勝利は田嶋(オ)、西村(日)に次ぎ3人目。セでは高橋遥が一番乗りだ。

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