ヤクルト ドラ6菊沢“高速クイック” 4球団007警戒「プロでもトップクラス」

[ 2017年2月13日 09:08 ]

フリー打撃に登板するヤクルト・菊沢
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 ネット裏で視察した4球団のスコアラーが目を見張った。走者を一塁に置いたフリー打撃。今キャンプで初めて打撃投手を務めたヤクルトのドラフト6位・菊沢(相双リテック)が、高速クイックを披露した。

 クイックは一般的に1・2秒台で合格点と言われる中、ストップウオッチには「1・02秒」が表示されていた。15年に米独立リーグでプレー。菊沢は「米国では直球だけでは抑えられない」と痛感し、武器にするべく高速クイックを独学で研究した。「体重移動の時間がもったいない。クイックは力強い球じゃないと意味がない」との考えから、あらかじめ体重を軸足に乗せておいて投球動作に入る。広島の井生崇光スコアラーは「クイックはプロでもトップクラス」と警戒を強めた。

 軟式出身の28歳だ。この日、直球の最速は138キロながら4種類の変化球を試し、山崎に29球を投げて安打性はわずか1本。続く広岡も29球で安打性2本に抑えた。硬球での打者との対戦は、かつて所属した米独立リーグでのラストゲームだった15年8月以来。日本での硬球となれば、14年以来3年ぶりだった。

 初めてプロの打者と対峙(たいじ)にも、異色の苦労人は「打者が入った方が気持ちが入る。落ち着いて投げられた」とうなずいた。掘り出し物の出現に、真中監督も「いろんな経験をしている分、実戦向きという印象。今のところ中継ぎというイメージ」と評価する。17日のDeNAとの練習試合(浦添)で実戦デビューする。「クイックが武器になれば、自分の助けになる。しっかり投げられるようにしたい」。今季の新人で唯一の昭和生まれ。遅咲き右腕が開幕1軍へまい進する。 (原田 真奈子)

 ▽クイックモーション 一般的には「投球動作→捕手が捕球」まで1・2秒台で合格ラインといわれる。スーパークイックが代名詞のDeNA・久保は0・9秒台を叩き出すこともある。15年は21試合で相手の盗塁企図数は0と、その速さに走者もお手上げ状態だった。

 ≪菊沢 竜佑(きくさわ・りゅうすけ)≫

 ☆生まれとサイズ 1988年(昭63)5月16日、秋田市生まれの28歳。1メートル83、85キロ。右投げ右打ち。

 ☆球歴 秋田高では3年夏の秋田大会4強が最高で甲子園出場なし。立大から一般就職で山崎製パンに入社し、1年間は社業に専念。横浜金港クラブを経て15年に米独立リーグのソノマ・ストンパーズに入団。昨年は相双リテック(軟式)でプレー。昨秋ドラフト6位指名でヤクルト入団。

 ☆軟式の星 昨年8月の福島県早起き野球でMVPに輝き、相双リテックの優勝に貢献。地元では「早起き野球の星」と紹介された。

 ☆バスケットボール好き NBAウォリアーズのケビン・デュラントのファンで、同じ背番号35を選択。

 ☆座右の銘 日本人初のNBA選手・田臥勇太の著書のタイトルでもある「Never Too Late(今からでも遅くない)」。

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2017年2月13日のニュース