第4回WBC「史上最強」の可能性を秘めた米国

[ 2017年2月13日 10:41 ]

09年WBCには米国代表としてデレク・ジーター内野手(中央・2番)も出場
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 WBCに出場する全16チームのメンバーが出そろった。過去3大会で最高はベスト4で、通算成績も10勝10敗の勝率5割と期待を裏切り続けている米国。今大会は「史上最強」との呼び声が高いが、果たしてどうか。

 ビッグネームという点では、06年の第1回大会にはかなわない。クレメンス、グリフィー、ジーター、A・ロドリゲスら全メンバーのオールスター選出回数を合計すると64(前年時点)。今回はジョーンズ、マカチェンの5度が最多で計42と、09年の第2回大会の46よりも少ない(13年の第3回大会は40)。ただし、現時点で「超」がつくビッグネームは少ないが、今が旬の実力者がそろったとの印象が強い。野手陣は15人中、12人が球宴経験者。これは過去3大会(06年=11人、09年=9人、13年=10人)と比較しても最多だ。

 とはいえ、攻撃力について、野手全員の前年成績から平均値を出すと、

【06年】打率・292、本塁打25・2、打点84・5、盗塁9・1

【09年】打率・296、本塁打23・2、打点85・5、盗塁13・6

【13年】打率・283、本塁打23・2、打点73・3、盗塁14・5

【17年】打率・281、本塁打21・7、打点81・4、盗塁6・5

 今回は打率、本塁打、盗塁は過去最低で、打点は3番目と、特徴がないように見える。しかし、20本塁打以上は11人で、過去最多(06年=10人、09年=9人、13年=8人)。飛び抜けた選手は少ないが、ほぼ全員が高いレベルの選手といえる。

 顔ぶれを見ると、かつての名将、ジョー・トーリGMが、名前よりも一つのチームとして勝てるメンバーを選んで構成したように思える。スタメンが予想される捕手ポージー、一塁ゴールドシュミット、二塁キンズラー、三塁アレナド、遊撃クロフォードは全員ゴールドグラブ賞経験者。左翼イエリチ、右翼スタントンは、1次ラウンド会場のマイアミを本拠地とするマーリンズの2人で、地の利がある。

 毎回、選考に苦労する投手陣はどうか。今回もシャーザーが故障で辞退し、噂されたカーショー、バムガーナーの選出もなかった。ただ、救援陣は盤石だ。特にインディアンスの左腕ミラーは、今や救援ではNo.1と言っても過言ではない。昨季、相手チームの3、4番打者に限った対戦成績を見ても61打数8安打(打率・131)で、29奪三振。昨季のポストシーズン同様、抑えではなく、中盤以降のポイントで使ってくるのではないか。

 2次ラウンドはサンディエゴのペトコ・パーク、準決勝、決勝はロサンゼルスのドジャースタジアムと、いずれも投手有利の球場。昨季9勝のストローマンが選ばれたが、先発投手では昨季、ゴロ率が60・1%で1位だった。救援陣にもダイソン(65・2%)、グレガーソン(60・0%)と、ゴロを打たせる投手が並ぶ。パワーヒッターがそろう中南米のチームに対し、ゴロを打たせ、鉄壁の内野陣で守る戦略か。ラウンドごとに入れ替え可能な「予備登録投手」も米国を勝たせるためのような新ルールで、勝ち進めば昨季20勝の左腕ハップが出てくるだろう。

 「史上最高」のメンバーではないが、「史上最強」の可能性を秘めた今回の米国。4度目も期待を裏切るようだと、第5回大会は開催されないかもしれない。(記者コラム・甘利 陽一)

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2017年2月13日のニュース