侍に新たな不安…中田 左手首痛でフリー打撃回避「無理する時期じゃない」

[ 2017年2月9日 06:20 ]

左手首を気にする中田
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 侍ジャパンに、また暗雲か――。沖縄・国頭で2軍キャンプ中の日本ハム・中田翔内野手(27)が第2クール2日目の8日、左手首の痛みを訴えて打撃練習を回避した。世界一奪還を目指す3月の第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、侍の打の中軸として期待が懸かる大砲に生じた異変。大谷翔平投手(22)が右足首痛で出場辞退して、危機に陥った侍ジャパンに新たな不安の種が生まれた。

 沖縄北部の空と同じだった。午後からのフリー打撃。バットを手に姿を現した中田の表情は曇っていた。球団CMの撮影用に、構えるポーズを取っただけ。撮影を終えると、右手一本でバットを振り下ろし、そのままベンチ裏に引き返した。

 「痛みがなかったら打ってるよ。この時期にこんなの出たことない。シーズン中なら注射してカバーできるけど…。無理して俺まで辞退ってなったらしょうもない」

 侍の主軸の突然のフリー打撃回避。予兆は前夜の夜間練習からあった。ティー打撃を30本、投手相手に140スイング。途中、左手首を伸ばしたり振ったりしながら顔をゆがめた。一夜明けたこの日、午前中のキャッチボール、ノック、坂道ダッシュなどの全体メニューを通常通りに消化。その間、フリー打撃を行うべく患部の状態を探ったが、最終的に回避を決断した。「1回、ピークまで上げているから、ここからは無理する時期じゃない」と中田。その後はハーフパンツとTシャツに着替えて、別メニューでジョギングと軽めのウエートトレーニングを終え球場を後にした。

 WBCへのハイペース調整が、少なからず影響した。キャンプ2日目に、ロングティーで224スイングをこなすなど「こんなに最初から振っているのは何年かぶり」と言うほど精力的だった。前日まで6日間の練習日のうち4日、志願して夜間練習に参加した。全体練習の時間にも連日、ロングティーを敢行。キャンプ合計スイングはすでに2000に到達した。元々責任感の強い男。日の丸を背負う強い気持ちに加え、大谷の出場辞退にも気持ちが奮い立った。13年の前回大会ではチームトップの勝利打点2。侍の主軸としての強い自覚からの自然と熱を帯びた猛練習に、左手首が悲鳴を上げた。

 予想外の急停止。現時点では病院に行く予定はないが、古傷だけに不安は広がる。「(左)手首はずっと持っているから」。プロ1年目の08年に「左手有鉤(ゆうこう)骨鉤骨折」で手術。さらにボールを呼び込み、体に近いポイントで打つタイプだけに患部の負担は大きい。手首はデリケートな部位でもあり、今後の調整への不安は残る。

 それでも中田は9日のフリー打撃再開を目指す。「状態を見て、軽くでもフリーができる状態になればいい。少しでも打てそうだったら打つよ」。そう言いながら、祈るような視線を左手首に落とした。 (春川 英樹)

 ▽中田の左手首故障 入団1年目の08年6月14日のイースタン・西武戦(滝川)で左手首を痛めて途中交代。7月14日の精密検査で「左手有鉤骨鉤骨折で全治1カ月」と診断され、同16日に手術を受けた。ここから慢性的な左手首の違和感を抱えている。その後も12年10月28日、巨人との日本シリーズ第2戦(東京ドーム)で沢村から左手甲に死球を受けて左手第5中手骨(小指)を骨折。13年8月21日の楽天戦(Kスタ宮城)では美馬から左手甲に死球を受け、左手第5中手骨を亀裂骨折と、左手は故障が続いている。

 ≪中田の今キャンプ≫

 ▼1日 2軍の沖縄・国頭でキャンプイン。フリー打撃は52スイングで柵越え1本も、ロングティーでは52スイングで23発。スマホのスロー動画撮影機能を使ってフォームをチェックし「細かい肘の使い方とか確認できる」。夜間練習も実施。

 ▼2日 ロングティーで224スイングのうち柵越え118本。フリー打撃と合わせて288スイング。

 ▼3日 フリー打撃29スイングで2発に打撃が「腐っている」と吐露。夜間練習で120スイング。大谷の出場辞退決定に「心配。しっかり治してもらいたい」。

 ▼4日 ロングティー72スイングで柵越え54本。10連発、140メートル場外弾に「しっかりボールをつかまえられるようになってきている」。

 ▼5日 29スイングで柵越え4本。第1クール終了に「思っていた以上に振れた。結構、振り込めた」。

 ▼6日 休日。気分転換の釣りで約55センチのクロダイを釣り上げる。

 ▼7日 フリー打撃で33スイング中、11本の柵越えと快打を連発し「まあまあでしょ。これでひと安心かな」。夜間練習で計170スイング。

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