【斎藤隆パドレス留学記】臨時コーチ就任で学んだ指導者の考え方

[ 2016年9月28日 08:15 ]

アリゾナ教育リーグで臨時投手コーチを務めた斎藤氏

 先日、1年ぶりにユニホームを着ました。今月13日にアリゾナ州ピオリアで始まった教育リーグで1週間の臨時コーチを命じられました。参加選手はマイナー組織全体から選ばれた70人で、18歳以下が19人。FAで獲得したキューバ出身の即戦力に近い選手もおり、近い将来、メジャーに上がることを期待されている精鋭たちと言えます。

 教育リーグは、練習や実戦だけではありません。朝からミーティング漬けの日もあり、メジャーリーガーになるための心構えなど、野球以外のことも教えます。来月初めにはサンディエゴのペトコ・パークに移動。トータルで約4週間にわたって英才教育を施します。

 私はいつもはオフィスに座っていますが、ユニホームを着ると、一応、オールスター選手なので急にVIPのような扱いをされ、何か不思議な感じでした。選手からは「変化球を教えてほしい」と頼まれました。その一人が、アンダーソン・エピノーザというベネズエラ出身の18歳。7月にレッドソックスからトレードで移籍してきたメジャーでも注目の投手で、1Aでは100マイル(約161キロ)の速球を投げているそうです。彼にはカーブを教えました。

 こちらのコーチは、日本と比べて教え方はシンプル。コーチが「こうしなさい」と提案するのではなく、基本的には聞かれたことに答える。練習を見ても、やっていることはマイナーも、メジャーも、日本も一緒。もちろん、身体能力の違いはありますが、「こういう選手になりたい」とか、意識の持ち方で差がつくのではないでしょうか。

 その手助けをするのがコーチ。練習メニューを指示するだけのプログラマーであってはいけない。選手が「こうするにはどうすればいいか」と疑問符を持つことで、初めてコーチは機能すると思います。本来、この1年間はフロントの勉強と考えていたので、ユニホームを着ることには抵抗がありました。しかし、若い選手と一緒にグラウンドで汗を流し、選手と指導者の関係性を考えるには、いい機会になりました。 (パドレス編成本部付きインターン) 

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