元広島4番、楽天・栗原引退へ 球団に申し入れ、近日中に発表

[ 2016年9月28日 04:55 ]

故郷・東北で豪打復活かなわず…今季限りで引退する栗原

 楽天・栗原健太内野手(34)が今季限りで現役を引退することが27日、分かった。すでに球団には申し入れており、近日中に発表される。同選手は1999年ドラフト3位で広島に入団。持ち味の勝負強さで通算1082安打、153本塁打、586打点を記録したが、ここ数年は度重なる故障に苦しんだ。明るい性格で誰からも愛された大砲が惜しまれつつ、ユニホームを脱ぐ。

 類いまれな勝負強さで長く広島の主砲を務め、今季から生まれ故郷・東北に新天地を求めた男が、自らの引き際を決断した。栗原は25日の2軍のシーズン全日程終了を待ち、濃密だった17年間の現役生活に幕を下ろす決断を球団に伝えた。
 広島入団3年目の02年に1軍初出場を果たすと、着実に実績を積み重ねてレギュラーに成長。新井(現広島)が阪神移籍で抜けた08年には開幕から4番に座り、シーズン全144試合に出場し、打率・332、23本塁打、103打点を記録した。09年は第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)を戦う侍ジャパンに準決勝から負傷の村田(横浜、現巨人)に代わって招集され、世界一を経験。卓越した打撃力に加え、ゴールデングラブ賞も3度獲得し、球界を代表する内野手に成長した。

 順風満帆の野球人生。しかし、生来の我慢強さが裏目に出た。チームの勝利を最優先に考え、慢性的な右肘痛を抱えながらプレーを続けたが、12年5月に右肘骨棘(こっきょく)の除去手術を余儀なくされた。以降は度重なる違和感に苦しめられ、本来の打撃を取り戻すには至らなかった。14年から2年連続で1軍出場はなく、昨オフには自由契約を申し入れ、楽天にテスト入団。「拾ってくれた球団に、何としても恩返しがしたい」と話し、死力を尽くしたが、今季も1軍出場はなく、2軍でも打率・188、4本塁打、15打点に終わった。

 今後については未定。それでも、明るく裏表のない人間性や、手を抜かず全力で練習に取り組む姿勢、豊富な練習量に裏付けられた野球理論に対する周囲の評価は高い。その存在は広島のみならず、楽天の若手にも多大な影響を及ぼした。山形の実家には、いつでも打撃フォームを確認できるよう、至る所に木の棒が置いてある。信号待ちの時間に突然、真剣な表情で傘を構え、周囲を驚かせたこともある。常に頭の中には野球があった。永遠の野球少年は惜しまれつつ、完全燃焼してバットを置く。

 ◆栗原 健太(くりはら・けんた)1982年(昭57)1月8日、山形県生まれの34歳。日大山形では2年夏に甲子園出場。99年ドラフト3位で広島入団。06年にレギュラーに定着し、11年にベストナイン、ゴールデングラブ賞を獲得。12、14年と2度の右肘手術を受け、15年に自ら自由契約を選択。入団テストを経て楽天に移籍した。09年の第2回WBC日本代表。1メートル83、97キロ。右投げ右打ち。

続きを表示

この記事のフォト

2016年9月28日のニュース