工藤ソフトB 執念スクイズでV阻止「一発でよく決めてくれた」

[ 2016年9月28日 05:45 ]

<ロ・ソ>9回、福田のスクイズで生還した城所(右)を迎える工藤監督

パ・リーグ ソフトバンク3―2ロッテ

(9月27日 QVCマリン)
 同点に追い付かれた直後の9回1死一、三塁のチャンス。球場のビジョンには日本ハム敗戦のスコアが映っていた。

 「負けて優勝させるわけにはいかない。絶対勝つ」と心に誓ったソフトバンクの福田が松永の1ボール1ストライクからの3球目にスクイズ。138キロの高め直球を一塁側へと転がした。三塁走者・城所が決勝のホームを踏んで、奇跡の逆転Vへ首の皮一枚つながった。

 思いをつないで奪った決勝点だった。9回は先頭打者の江川が死球を受け、代走の城所が細川の初球に二盗に成功。細川の犠打で三塁へ進み、川島の死球後に福田がスクイズを決めた。「厳しい試合だった。選手たちがものにしてくれた。(福田は)一発でよく決めてくれた」と工藤監督。今季初めて敵地に足を運んだ王貞治球団会長も「みんなが意地を見せてくれた」と称えた。

 先発・千賀が7回まで2安打に封じて三塁を踏ませなかったが、8回に2者連続押し出し四球を出して降板。なおも続いた2死満塁のピンチで流れを止めたのが森福だった。角中を左飛に抑えた左腕は「ピンチを抑えたらチャンスが来る」と信じて白星を呼び、「可能性のある限りみんなで戦っていく」とナインの思いを代弁した。

 工藤監督は千賀について「完封するかと思っていた。野球は何が起こるか分からない」と振り返った。「野球は…」。それは今年のペナントレースも同じだ。最大11・5ゲーム差を逆転され、日本ハムに優勝マジック1とされている。だが、王者の誇りを懸けて諦めずに戦い抜く。「また、明日だ」。敗れた前夜には聞かれなかった指揮官の力のこもった言葉が、敵地に響いた。(福浦 健太郎)

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