マー「技のデパート」だ!意表突く「インスラ」&スプリットも自在

[ 2016年6月8日 05:30 ]

<ヤンキース・エンジェルス>7回を投げ2失点。勝敗は付かなかった田中

ア・リーグ ヤンキース5―2エンゼルス

(6月6日 ニューヨーク)
 ヤンキースの田中将大投手(27)が6日(日本時間7日)、我慢の投球でチームを勝利に導いた。エンゼルス戦に先発し、7回を6安打2失点。チームは逆転勝ちを収めた。試合前のブルペンから調子がいまひとつと判断すると、これまで増やしてきた引き出しを惜しげもなく披露。「技のデパート」とも言える多彩な投球術で試合をつくり、チームの勝機をしっかり演出した。

 田中らしい一言だった。2イニング連続3者凡退に斬った5回。最後の打者カルフーンを外角フォーシーム、今季自己最速タイの95マイル(約153キロ)で空振り三振。変化球に意識のいった相手の裏をかく投球だった。「95マイル出る感じではなかった。びっくりしました」。そして状態が上がったのかと指摘され答えた。「いや~、別に。僕は100マイル目指していないので」

 日本ハム・大谷とレンジャーズ・ダルビッシュとで球速争いが盛り上がる中、控えめな発言はこの日のスタイルを物語った。「いいボールというものはなかった」。試合前ブルペンから調子や状態は把握していた。良くない。何に頼るか。「気持ちですよ。やっぱり。駄目だから“あぁ、駄目だ”と投げるより、“そういう中でも自分なりにコントロールして投げていく”という考え方が必要。マインドだと思う」。強調したのは何よりも精神面。そして蓄えてきた技術が、投球の引き出しとなった。

 速球の大半がシンカーとなった今、95マイルのフォーシームは飛び道具としてアクセントになる。ここ数試合で増やしたカットボールで、右打者からファウルを引き出しカウントを整えた。その右打者の意表を突く「インスラ」。さらに、スプリットは自在に応用した。(1)空振りを奪う(2)チェンジアップ的に投げて見逃しストライク(3)低めで横にスライドさせゴロを誘う。「まぁ、いろいろ使って投げましたよね。自分の中で。駄目だった時に次はこれ、その次はあれ、というパターンがあった方がいい」。技術の粋を尽くした。

 自身に勝敗は付かなかったがチームに白星をもたらし、2試合連続の中4日でハイ・クオリティースタート(7回以上、自責点2以下)を達成した。「気持ちの面でカバーでき、我慢強く最後まで投げられたと思う」。これもエースの投球だ。

続きを表示

2016年6月8日のニュース