オコエ初三塁打で2打点!初お立ち台でアモーレ&何も言えねぇ

[ 2016年6月8日 05:30 ]

<楽・ヤ>郡山のファンに「アモーレ」と叫びながらポーズを取るオコエ

交流戦 楽天5-1ヤクルト

(6月7日 郡山)
 アモーレ沸かせて何も言えねぇ~!楽天のドラフト1位・オコエ瑠偉外野手(18)が負の連鎖を断ち切った。7日のヤクルト戦は福島県郡山市の開成山野球場が舞台。2回にプロ初の三塁打で2打点を叩き出し、東北の地方球場での主催試合で13年から11連敗中だったチームに勝利をもたらした。プレーも、初のお立ち台も、ルーキーの輝きが満ちあふれた。

 一塁ベースを回って足が滑った。二塁ベースを踏む際は歩幅が合わなかった。それでもオコエは確信していた。「行ける!」。爆発的な加速。郡山のファンは大歓声で背中を押した。右足から豪快に三塁ベースにスライディング。両手を大きく広げ喜びを爆発させた。

 13年8月からチームは東北で主催した地方ゲームで11連敗。“呪縛”を解く勝利の立役者は、自身初のお立ち台で感想を問われ「何も言えねぇーです!」と元競泳選手の北島康介氏の名セリフを拝借した。それでもすぐに神妙な表情に戻り「1軍にいる以上は年齢は関係ない。またここに立ちたい」と力を込めた。

 ファンを魅了したのは2回だ。1点先制し、2死二、三塁。1ボール1ストライクから外角のスライダーをライナーで右中間にはじき返した。中堅の坂口が回り込んでフェンス手前で捕球したにもかかわらず、快足を飛ばして三塁に達した。梨田監督は「オコエは土を蹴るというより、ミズスマシみたいに加速する」と独特の表現で評した。

 ナイジェリア人の父を持ち、昨夏の甲子園では抜群の身体能力で観衆を魅了した。8月11日の2回戦、高岡商戦では1イニング2三塁打の大会タイ記録をマーク。三塁打はオコエの「代名詞」だ。チーム事情で4月中旬に一度は2軍落ちも、最下位に低迷するチームの起爆剤として5月29日に1軍再昇格。2軍でも栄養バランスを考えた食事による体質改善とウエートトレーニングを欠かさなかった。体重はプロ入り当初の90キロから92キロにアップ。一方で体脂肪率は16%から12%に減った。2月のキャンプ時に130キロ前後だったスイングスピードは現在は球界トップクラスといえる157キロ。パワーアップしながら体の切れも追求している。

 4回には投手強襲の内野安打。6回は得点圏で凡退、8回は見逃し三振に倒れ「まだまだ技術が足りない」と反省も忘れなかった。プロ初安打を放った5月31日の阪神戦(コボスタ宮城)から、ここまでのチームの7試合中6試合で先発出場。通算打率・194も、その6試合は22打数6安打で打率・273だ。

 お立ち台を終えて場内を一周したオコエは左翼席のファンに向け「アモーレ(いとおしい人)!」と絶叫した。真面目な性格ながら、ここ一番では愛きょうある笑顔と行動で盛り上げる。「スター性」は持って生まれたものだ。(山田 忠範)

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