菅野 虎ねじ伏せた東京D初完封!「最高の気分です」

[ 2016年4月7日 05:30 ]

<巨・神>9回2死、鳥谷から三振を奪い完封勝利にガッツポーズの菅野

セ・リーグ 巨人3―0阪神

(4月6日 東京D)
 エースが虎をねじ伏せた。巨人の菅野智之投手(26)が6日、阪神を相手に2勝目を自身初の無四球完封で飾った。散発6安打で8奪三振。本拠地・東京ドームでの完封はレギュラーシーズンではプロ4年目で初めてだった。打ってもプロ入り初の2打席連続安打を放ち、5回には自ら2点目のホームを踏んだ。今季初の伝統の一戦で対戦成績を1勝1敗とし、首位の座を死守。菅野は昨年5月からの阪神戦の連勝を4に伸ばした。

 9回。マウンドに向かうエースの背中に右翼席から「菅野コール」が注がれた。3者凡退。111球の熱投で手にしたレギュラーシーズン初の東京ドーム完封劇。無四球で花を添え、グラブを叩いて右拳を突き上げた。

 「最高の気分です。東京ドームは他の球場よりも格別な思いがある。これからもっと(完封)できるように頑張りたい」

 勢いに乗る虎のルーキー、1番の高山を封じた。前日の初戦、巨人投手陣は外角中心の配球で4安打された。打てば阪神ベンチが乗るキーマン。菅野も「やっぱりいい打者。これからも脅威になるのは間違いない」と感じたからこそ4打席で計10球中、内角に5球を投じて単打1本に抑えた。

 前日、登板するイメージを湧かせながら試合を見た。展開されたのは打撃、走塁両面で失敗を恐れない金本阪神の積極的な野球だった。「見ていて凄く悔しかった。(阪神は)いいチームですが、これ以上、好きにやらせたくないと思った」。目に焼き付けた映像を、勝利への執念に変えた。

 思いはバットにも乗り移った。プロ入り初の2打席連続安打。「打つ姿勢だけは見せたかった」と5回に先頭で中前打を放った。続く長野の右翼線二塁打で三塁まで激走。立岡の中前打で2点目のホームを踏んだ。直後の6回には先頭のヘイグに対し、今季最速の153キロを計測するなど3者凡退。打って走った後でも平然と投げ続けた。

 ここ数年、オフのテーマは直球の向上。昨オフには指先や右前腕部の力を強化させた。「今しかできないことをやりたいんです。真っすぐは若い時しか磨けない。球種を増やすとかは30歳を過ぎてからでもいいと思う」。これがエースの持論。影響を受けた一つが、この日対戦した阪神の能見からの一言だった。

 数年前の7月。食事に訪れた店で、遭遇した。あいさつに出向いた菅野は能見から「あんなにいい真っすぐがあるのに、何であんなに(たくさん)変化球を投げるの?」と声を掛けられた。球界を代表する左腕からの言葉。「やっぱり真っすぐなんだなと、改めて思いました」。直球への思いはより強まった。

 2試合連続の中5日でブルペン陣を休ませる今季初完封。チームにとっても今季初完投初完封となり、高橋監督も「本当にね。素晴らしい投球。流れを変えてくれたと思います」と目を細めた。7日は3年目の平良がプロ初登板初先発する。「きょう負けていたら3連敗がかかってしまった。あすは頑張ってほしい」と菅野。エースとして、先輩として。圧倒的な存在感を示した。 (川手 達矢)

 ≪東京Dでは初≫菅野(巨)が今季初、自身3度目の完封勝利。過去2度の完封は敵地(甲子園、ナゴヤドーム)で、本拠地・東京ドームでは初めて(CSでは13年に1度)。無四死球完封も自身初になる。菅野は、打っても自身2度目の1試合2安打。巨人で完封勝利を挙げて複数安打をマークしたのは、05年6月30日ヤクルト戦で、上原が2安打して以来11年ぶり。

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