美馬「自分でもびっくり」省エネプロ初完封 12球団一番乗り

[ 2016年3月31日 06:30 ]

<ロ・楽>ロ初完封の美馬(右)は嶋とタッチ

パ・リーグ 楽天5―0ロッテ

(3月30日 QVCマリン)
 快投96球!楽天の美馬学投手(29)は30日、今季初登板のロッテ戦で、プロ6年目にして初の完封勝利を挙げた。打たせて取る投球で3安打無四球、わずか96球の省エネ投球。13年10月19日、ロッテとのCSファイナルS第3戦(Kスタ宮城)で完封しているが、レギュラーシーズンでは初で今季の12球団一番乗り。13年の日本シリーズMVP右腕が、完全復活へ最高のスタートを切った。

 美馬の目尻に瞬く間に笑いじわができた。5―0の9回2死、低めスライダーで最後の打者・清田を見逃し三振に仕留めた。プロ初の完封勝利。右拳を何度も握り締め、女房役の嶋とがっちり抱き合った。

 「スイスイいき過ぎて自分でもびっくり。チームが連敗していたので、何とか止めたいとマウンドに上がった。出来過ぎですね」

 初回1死から細谷に右越え三塁打を浴び、ピンチを迎えた。続く清田に対し懐をえぐる145キロの内角シュートで三ゴロに詰まらせ「インコースをずばずば突けた。ふわふわしてたのが気持ちが入った」とリズムに乗った。

 7回無死二塁も4番・デスパイネら中軸を断ち「いける」と与田投手コーチに続投をアピール。最後までマウンドに立ち続けた。27アウトのうち三振はわずか2で、ゴロアウトが15。「変化球も直球も低めに投げられた」。わずか96球の打たせて取る投球のお手本を見せた。

 昨年9月、自身5度目となる右肘の手術を受けた。初めて傷が小さく済む内視鏡手術を行ったが「(状態が)なかなか、戻らなかった」とリハビリはつらかった。励みに なったのが母・明美さんの存在。この日は父・孝好さんとともに球場まで応援に駆けつけてくれた。明美さんは13年9月に内臓にがんが見つかり、闘病生活を続けている。「両親の前で良いピッチングができて良かった」と喜びをかみしめた。

 13年10月19日、ロッテとのCSファイナルS第3戦でも完封勝利を経験しているが「CSより大きい。相当、自信になった」と語気を強めた。その年は日本シリーズでも2勝を挙げMVPに輝き、球団初の日本一に貢献した。だが、以後2年間は5勝止まりと不本意なシーズンが続き、今季にかける思いは強い。

 美馬の活躍なしにチームの上位浮上はない。「これで終わらないようにしたい」。完全復活へ、その第一歩を踏みしめた。(徳原 麗奈)

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2016年3月31日のニュース