智弁学園 逆転サヨナラ初決勝!9回1死からミラクル4連打

[ 2016年3月31日 05:30 ]

<智弁学園・龍谷大平安>9回、逆転のサヨナラ2点適時打を放ち、ガッツポーズの智弁学園・納

第88回選抜高校野球大会第10日・準決勝 智弁学園2―1龍谷大平安

(3月30日 甲子園)
 準決勝が行われた。智弁学園(奈良)は龍谷大平安(京都)に、大会史上53年ぶり2度目となる準決勝での逆転サヨナラ勝ち。0―1の9回1死から4連打、最後は納(おさめ)大地二塁手(3年)の2点適時打だった。高松商(香川)は2―2の延長11回に2点を勝ち越し、秀岳館(熊本)を制した。智弁学園の決勝進出は春夏を通じて初。高松商は61年以来55年ぶりで、勝てば56年ぶり3度目の優勝となる。

 快音が快音を呼ぶ。9回1死走者なしからのミラクル。大橋、中村、青木の下位打線が単打を並べた。満塁で、打順は1番の納――。「俺まで回ってこい、回ってこいと祈っていた」。積極性はバットに乗り移る。スライダーを中前へはじき返し、2者が還った。春夏通算27度目の甲子園で初の決勝進出。敗北寸前から、歴史を変えた。

 「スライダーがくるとピーンときた。チーム全員で打ったヒットだと思う」。納は2回戦終了時点で安打なし。頭髪を五厘に刈って気分を一新すると、準々決勝・滋賀学園戦で4安打を放った。復調を遂げたリードオフマンは最後の場面、小坂将商監督の助言でいつもより指2本短く持ったバットを振り抜いた。

 3回2死一塁の守備で、左翼の中村が安打の処理で後逸し、先制を許した。本来内野手で、今大会初スタメン。あまりの緊張に宿舎で朝食をもどしていた。納と中村は2人部屋の寮で1年間、同じ部屋で過ごした仲だ。守備が終わる度に納は「気にすんな。やり返そう」とベンチ内で親友の背中をさすった。「絶対に取り返す」と9回の4連打に今大会初安打で加わった中村。最後はサヨナラのホームを踏んだ。

 95年夏、主将だった小坂監督はベスト4で敗退。この日も頭をよぎった「自分はまた越えられないのか」という壁は、仲間を信じ続けた教え子たちが見事に乗り越えた。9回の満塁機はスクイズの策も浮かんだ中で、「(自分たちの)スタイルでもない。併殺でもいい」と選手を信じた。

 2年前は岡本(現巨人)、昨年のチームは広岡(現ヤクルト)を擁した。ドラフト上位指名された中心打者がいてもつかめなかった優勝旗が、目の前にある。開幕戦勝利から、どこよりも長く戦う春。納は「ここまできたら日本一」と宣言した。(水口 隆博)

 ▼智弁学園・青木(3回2死二塁、市岡の中前打で好返球し、本塁で刺す)いつも練習で、一発で決まっている。絶対アウトにできると思った。

 ≪準決勝の逆転サヨナラ勝ちは53年ぶり≫智弁学園が納の逆転サヨナラ打で初の決勝進出。77年春、95年夏に続く3度目の準決勝で初めて勝った。準決勝のサヨナラ勝ちは01年常総学院2―1関西創価(延長10回)以来。逆転サヨナラ勝ちは63年北海8―7早実(5―7から)以来53年ぶり2度目となった。また、準決勝に限らず零敗目前の最終回に一打で逆転サヨナラ勝ちしたのは、34年決勝の東邦商2―1浪華商(延長10回、村上2点適時打)以来82年ぶり2度目。

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