「ワクワク感」こそが1軍への足掛かり オリ田口2軍監督の金言

[ 2016年3月31日 09:30 ]

オリックスの田口2軍監督

 最近、ワクワクしたのはいつだろうか。それも困難にぶつかったときに――。ふと、そんなことを考えてしまった。

 それは1軍開幕前の22日。2軍のウエスタン・リーグ、ソフトバンク戦に取材に行った際のことだ。開幕ローテーションに入っている東明が調整登板。目的はそこだったが、試合が進むにつれて興味は他に移っていった。相手の先発はこちらも開幕ローテーション候補の千賀。果たして、誰が打てるんだろうか。

 7回までわずか1安打。5四死球あり、足掛かりはつくったが、ここぞで打てない。視察していた1軍の酒井投手コーチも「細川のリードで、いろいろ試していたように思えた。けど、それでも抑えてしまうのが1軍の投手」と舌を巻いた。結局、失策絡みで8回に1点を奪ったが、それが唯一の得点となった。

 さすがに1軍の投手が出てくると打てない。そんな感想を田口2軍監督にぶつけると、悔しそうに「気後れ」だと断言した。「どれだけすごい投手でもワクワクして打席に行く。こいつを打ったらメシが食える。打ったら上(1軍)に呼んでもらえるかもしれない。誰も打っていないなら、なおさらね。そう思えるかですよ」。ワクワクできる精神状態で戦えないと、結果は出ないのだという。

 同じように、開幕戦だった15日は広島の野村に7回2安打無失点に抑えられた。18日の阪神戦もメッセンジャーに7回1安打で0点。3回の岩崎の左前打が唯一の走者でもあり、あわや継投での完全試合を食らうところだった。残念ながら、1軍級には手も足も出ない結果が続いていた。

 天賦の才ということもあるのだろうか。「いや、これはもって生まれたものではない。自信がつけばいけると思うが、僕らがどうにかするしかない」。田口2軍監督は言葉に力を込めて、自らの「仕事」だと訴えた。近年のオリックスの長期低迷に、若手の突き上げがないことがささやかれるが、これこそ新指揮官の仕事かもしれない。

 では、田口2軍監督が現役時代にワクワクした投手は誰か。「みんな外国人なんだけど。クレメンス、マダックス、ランディ・ジョンソン…かな」。さすが、大リーグでワールドシリーズ制覇2度の経験者だ。そもそも、大リーグ経験者が2軍監督になるのは、球界でも初のこと。そんな指揮官の下から「ワールドクラスの選手」が出てくることを、ワクワクして待ちたい。(記者コラム・鶴崎 唯史)

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2016年3月31日のニュース