金本監督サプライズ初采配 ファンサービスで紅白戦1日前倒し

[ 2015年11月4日 05:30 ]

1回裏1死二、三塁、ベンチから指示を出す金本監督(右)

 阪神の秋季安芸キャンプは第1クール3日目の3日、金本知憲監督(47)が粋な演出で虎党を喜ばせた。今秋最多観衆2500人を集めたことで当初は4日予定だった紅白戦を一日繰り上げて開催。練習開始前に自ら場内放送で発表するサービス精神も発揮した。就任後“初采配”では状況に合わせた打撃を指示するなど目指す野球の一端を実戦の中で選手に伝えた。

 練習開始10分前の午前9時50分、突如、場内アナウンスが流れた。ざわつく観衆。気になる声の主は…、なんと金本監督だ。「おはようございます。新監督に就任しました金本知憲です。明日、紅白戦の予定でしたが、きょうお客さんがたくさん来てくれたので、急きょ、きょうやります」―。サプライズ演出に、虎党から歓声が起こった。

 「朝、球場に来る時にね、祝日ということに気づきまして。球場に入った時にお客さんがたくさん来ているなと思ったので。練習も見たいかもしれないけど、まあ、紅白戦、実戦も見たいかなと思って急きょ。投手には迷惑を掛けましたけど。ファンサービスとして、やりました」

 球場入りした際に多数のファンを目にしたことで持ち前のサービス精神に火が付いた。練習開始直前にコーチ陣に「きょう、できませんか?」と提案。4日に予定していた紅白戦の一日繰り上げへ動いた。

 既に印刷も済ませていた練習メニューを文字通り白紙に戻し、投手陣への配慮から8イニング予定を6イニングに短縮して決行を決めた。超異例のマイク・パフォーマンスに「出しゃばりすぎましたかね。まあ、わざわざ来てくれるファンのために少し演出しました」と苦笑いも、もちろんファンは大喜びだ。

 「(出したサインは)まあ、1つ2つだけど。例えば、江越が打席に入っている時でも『こういうケースではこうだぞ』ということを、ベンチでみんなに伝えるために、ということでね」

 紅白戦では“初采配”も振るった。紅白組の攻撃に合わせて一、三塁ベンチを交互に移動。試合内容に目を光らせながらサインも出した。身ぶり手ぶりを加えた助言や言葉による指示も送った。

 「試合じゃないよ。実戦打撃みたいなもんよ」と振り返りつつ、「(状況に即した打撃を)最初からいきなり3回か4回くらいはアドバイスというか、伝えることができた」と収穫もあった。

 重視する走塁でも「イズム」は如実に表れた。5回1死一、二塁では紅組の二塁走者・緒方と一塁走者・岡崎が重盗を企図(結果は三盗失敗)するなど積極的な攻めもあり、「当たりゴー」などの指示も出して精力的に動き回った。

 記念の“初采配”になった11・3は6年前に死去した恩師、三村敏之氏(享年61)の命日だった。「夜は手を合わせます」。充実の一日。遠い秋空の向こうへ目を向けた。

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2015年11月4日のニュース