セ界最強!ヤクルト首脳陣をつなぐ「松山千春の絆」

[ 2015年11月4日 08:00 ]

日本シリーズ進出を決め、プレートを手に笑顔を見せる真中満監督

 躍進を遂げたヤクルトの2015年の戦いは幕を閉じた。日本シリーズでソフトバンクに敗れて日本一には届かなかったが、2年連続最下位から14年ぶりのセ・リーグ優勝を果たした。23歳の山田をはじめ、最多安打と首位打者のタイトルを獲得した川端、打点王に輝き、FA権を行使せず残留を決めた畠山らを擁するチームは、来季以降も楽しみに満ちている。

 若く明るいチームだ。それは選手だけではない。44歳の真中監督と7人のコーチ陣の平均年齢は44歳(11月4日現在)。選手と近い目線で活気にあふれている。ピンチをしのいだ時、ベンチではコーチ同士が抱き合う姿があった。テレビ中継にも映り、高津投手コーチは「カツノリ(野村バッテリーコーチ)が勝手に抱きついてくるんだよ」と苦笑いしたが、三木作戦兼内野守備走塁コーチも「チームはまとまっていた。監督の雰囲気がコーチをまとめた」と絆の深さを証言した。

 その絆は、意外なところでも表れた。チームが始動したばかりの2月、沖縄・浦添での春季キャンプ中のことだ。真中監督とコーチ陣は、食事会の後の2次会でカラオケマイクを握っていた。流れてきた曲は、松山千春の「長い夜」。一画面ずつ交代でマイクを回したが、歌い方はみんながものまねをしながらつないでいったのだという。それから8カ月後、激動のペナントレースを戦い抜き、栄冠を手にした後の10月中旬。ポストシーズンに向けてフェニックス・リーグで調整した宮崎でも再び「長い夜」のものまねリレーが行われた。2年連続最下位という「長い夜」から抜け出した首脳陣の一体感は、さらに深まっていた。

 せっかくなので、誰が似ていたか聞いてみた。伊藤投手コーチいわく「やはり高津さんかな」。現役時代からクリスタルキングの「大都会」のものまねを得意とするなど芸達者で知られる高津コーチを絶賛した。宮出打撃コーチは「三木かなあ。マイクの位置までちゃんとやっていた」と笑った。ちなみに、真中監督もカラオケ好きで「嵐」の曲を得意としている。

 日本シリーズまで戦い抜いたチームだが、今度は日本一を目指して早くも6日から愛媛県松山市内で秋季キャンプをスタートさせる。「セ界最強首脳陣」が、来季こそ日本一のチームづくりを目指す。(町田 利衣)

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2015年11月4日のニュース