有原　“３度目の正直”初完封　過去２度は９回１死被弾

＜オ・日＞プロ入り初完投を完封勝利で飾った有原はＢＢ（左）、ポリーからの熱い祝福に笑顔

パ・リーグ 日本ハム７－０オリックス

（9月5日 ほっと神戸）
　三度目の正直だった。９回２死一塁。日本ハムのドラフト１位ルーキー右腕・有原は糸井を左飛に仕留めると、グラブを叩いて喜びをかみしめた。過去２度、完投目前の９回１死から被弾し降板していた。

　自己最多の１３６球を投じ、プロ初完投を初完封で飾り「（過去）２回は（完投を）意識していなかったので、きょうは意識していった。３回目のチャレンジだったので何とか決めたかった。凄くうれしい」と会心の笑みを浮かべた。

　今までの有原とは違った。２―０の４回１死一塁。４番・中島に対して初球に投じたのは１１０キロのカーブだった。中島のバットは空を切り、最後は３０キロ差の１４０キロ直球で右邪飛に仕留めた。

　「緩急をつけられたことで抑えられた」。チームで２番目に多い１２被本塁打。直球は１５０キロを超えるが、それだけではプロでは抑えられない。カーブで緩急を使い、さらに制球を重視した。最速は１４６キロだったが、オリックス打線に的を絞らせずに無四球で８三振を奪い、厚沢投手コーチも「要所でカーブを入れて打者のポイントをずらしていた」と称賛した。

　パ・リーグの新人王争いで大きくリードする８勝目。試合前まで５点台だった防御率も４・５７まで下がった。「（新人王は）まだまだ厳しいと思う」と控えめだが、実は２歳下の大谷から背中を押されていた。前日、神戸へ移動する東京駅。報道陣に新人王について聞かれたルーキーが「それはちょっと…」と言った瞬間、隣の大谷が「有原さんは新人王を獲ります！」と宣言。有原は苦笑いしたが、両リーグトップの１３勝を挙げている二刀流右腕の言葉は、しっかりと胸に響いていた。

　新人の完封は、球団では０７年の吉川以来８年ぶりで大谷もできなかった。無四球の９回完封となると、６７年高橋善正（当時東映）以来４８年ぶりだ。栗山監督は「やっと普通に投げだした」とあえて褒めなかった。それも期待が大きいからこそ。「これからも一つ一つ勝っていきたい」と有原。チームのために積み重ねる勝利の先に新人王がある。　（中村　文香）

　≪０７年吉川以来≫新人の有原（日）が４安打無四死球で自身初の完封勝利。チームで新人の完封勝利は０７年に吉川が７月１２日オリックス戦で達成して以来８年ぶり。また新人の無四死球９回完封は昨年の石川（ロ）以来。チームでは東映時代の６７年に高橋善が３度達成して以来、ドラフト制後４８年ぶり２人目となった。