監督は言うけど…「自分たちの野球を、と言ってあまり勝った試しがない」

[ 2015年7月11日 10:24 ]

【野球部あるある】決死の送りバントが宙に浮いた瞬間、この世の果てが見える(C)クロマツテツロウ

 全国各地で地方大会が続々と開幕し、本格的に夏の高校野球シーズンが到来した。高い意識で甲子園出場をもくろむ球児もいれば、「夏の1勝」を目標に燃える球児もいる。集大成の夏に、高校球児たちはどんな生き様を見せてくれるのだろうか。野球部員の知られざる「生態」を研究しているライター・菊地選手と漫画家・クロマツテツロウ氏が「あるある」形式で球児の心理や行動パターンをつづる。今回は「夏の野球部あるある(プレー編)」。

 【野球部あるある1】三塁ベースに2人のランナーがいる時、どちらがアウトになるのか一瞬思い出せなくなる。

 真夏の太陽が球児の頭をじりじりと焼き、思考回路がショートしてしまうのだろうか。冷静になれば「後ろのランナーがアウト」と思い出せるのに、いざ実際に起きてみると、どちらがアウトになるのかとっさに思い出せなくなる。そんな場面で人類が開発した知恵が「ランナー2人ともタッチする」という方法。この妙手によって、自分がアウトになったと勘違いした、ちょっぴり抜けている「前のランナー」までアウトにできることがあるのだ。

 【野球部あるある2】決死の送りバントが宙に浮いた瞬間、この世の果てが見える。

 プレッシャーのかかる場面での送りバント。このバントを決めるために、今までつらい練習を乗り越えてきたのだ……というシーンで「コツーン!」と小フライを打ち上げてしまった瞬間。これまでの野球人生がダイジェストで浮かび、その先にある真っ暗な「果て」の世界が広がってくる……。そんなスピリチュアル体験を味わうことができる。

 【野球部あるある3】監督から「自分たちの野球をやろう」と言われるが、その野球であまり勝った試しがない。

 試合開始前、「自分たちの野球をやれば絶対に勝てる」と勇気づけてくれる監督。しかし、実際にそれで練習試合を勝ってきたならともかく、悲しいことにそうではないパターンが多い。そもそも「自分たちの野球」って、なんだ? という疑問が浮かんでくることもあるだろう。だが、だまされたと思って監督のポジティブな暗示に乗っかったほうが、意外といい結果が出るのかもしれない。

 ◆文=菊地選手(きくちせんしゅ) 1982年生まれ、東京都出身。野球専門誌『野球太郎』編集部員を経て、フリーの編集兼ライターに。元高校球児で、「野球部研究家」を自称。著書に『野球部あるある』シリーズがある。アニメ『野球部あるある』(北陸朝日放送)もYouTubeで公開中。

 ◆漫画=クロマツテツロウ 1979年生まれ、奈良県出身。高校時代は野球部に所属した漫画家。現在は月刊少年チャンピオン(秋田書店)にて異色の“野球部漫画”『野球部に花束を』を連載中。単行本(既刊6巻)、LINEスタンプも好評を得ている。

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