巨人・村田 逆転V弾に男泣き「息子の前で打てて良かった」

[ 2015年7月11日 05:30 ]

<巨・神>お立ち台で感極まる村田

セ・リーグ 巨人4-2阪神

(7月10日 東京D)
 こみ上げる涙をこらえ切れなかった。巨人・村田がお立ち台で約30秒間、言葉を詰まらせると、球場に「村田コール」が鳴り響く。目を真っ赤にしたヒーローは「いつも“パパのホームランが見たい”と言ってくれる息子の前で打てて良かった」と言葉を絞り出した。

 1点を追う2回1死一塁。今季6打数無安打に抑えられていたメッセンジャーのスライダーを振り抜いた。バットを放り投げ、逆転の4号2ランを右翼席に突き刺した。「忘れかけていたスイングができた。久しぶりの感触。打った瞬間に入る気がした」。4月30日の中日戦(東京ドーム)以来、実に71日ぶりの一発で、自身出場21試合ぶりに打点を記録した。

 右太腿裏の肉離れから6月19日に復帰して以降初めて絵美夫人(34)と長男・閏哉(じゅんや)君(9)、次男・凰晟(こうせい)君(6)、9カ月の三男・瑛梧(えいご)君が観戦。5月20日に出場選手登録を抹消されてから、約1カ月に及ぶ2軍生活の支えになったのが家族だ。練習から帰宅し、自宅の庭で息子たちとキャッチボールやティー打撃をする時間が心を癒やしてくれた。「早く上(1軍)に上がって。パパのホームランが見たい!」。今月4日は次男の誕生日だった。父の日には似顔絵をプレゼントしてくれた息子たちの声援を励みにリハビリを乗り越え、家族に一発を届けた。

 今季から兼任コーチを務める高橋由の助言も大きい。最近は本拠の試合前、高橋由とともにブルペンで打撃練習を敢行。「右肩でバットを振ってしまう癖があるから、バットを前に出すイメージで」とアドバイスをもらい、本来のスイングを取り戻した。4回1死一塁の2打席目も右前打し、マルチ安打を記録。「由伸コーチに良いところをみせられた」と笑った。

 阪神との首位攻防戦初戦を制し、今季3度目の4連勝。原監督は「瞬きしていて分からないぐらいのスイング、打球の速さでした。いいきっかけにして本来の村田修一の打撃を取り戻してもらいたい」と期待を込めた。男泣きした34歳は「前半戦はチームに苦労をかけた。良い形で締めて、後半戦につなげたい」と巻き返しを誓った。(青木 貴紀)

 ▼巨人・長嶋終身名誉監督(試合を観戦し、村田の逆転2ランに)うまいバッティングだったね。アウトコースをね。ああいうバッティングが村田の良さ。(打線全体も)少しずつ、徐々に良くなっているが、まだまだ。

 ≪89打席ぶり≫村田(巨)が2回に89打席ぶりとなる4号逆転2ラン。自身逆転弾は13年9月7日阪神戦で藤浪から放って以来2年ぶり。自身最長の本塁打ブランクは横浜入団1年目の03年に記録した90打席。自己ワースト目前だったが辛くも免れた。また、今季勝利打点はチーム81試合目で初めて。村田は横浜時代の04年から昨年まで11年連続でシーズン初V打を4月中にマーク。こちらも03年にチーム133試合目(9月26日広島戦)で挙げたのに次ぐ遅い初V打になった。

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