マエケン7失点も不安なし「開幕前に1回、力んだ投球できた」

[ 2015年3月21日 05:30 ]

<ソ・広>2回1死一塁、中村晃に適時二塁打を浴び悔しがる前田

オープン戦 広島3―8ソフトバンク

(3月20日 ヤフオクD)
 手応えは結果には表れない。2年連続5度目の開幕投手を務める広島・前田健太投手(26)が20日のオープン戦・ソフトバンク戦(ヤフオクドーム)に先発。5回8安打7失点で開幕前の最終登板を終えた。数字的には不安を残す登板内容だったが、赤ヘルのエースは笑顔で周囲の心配を一蹴。思い描いたプロセスをたどり、13年ぶりの本拠地開幕マウンドへと向かう。 

 苦笑いしかなかった。前田健は本来の姿とは、ほど遠い内容で本番前の最終登板を終えた。

 「感覚的には終わってましたね」

 口を突くのは後ろ向きな言葉。だが、それとは裏腹に余裕の笑みを浮かべた。5回7失点もエースにとっては十分な収穫があった。

 設定したテーマに沿って、投球を遂行した。

 「今日はドーム球場で寒さが気にならなかったので目一杯、力んでみようと思って投げました」

 あえて自らの「悪い状態」を作り上げ、マウンドへ。制球のいいエースには珍しく初回、先頭打者からの連続四球を発端に2失点。5回には松田に3ランを浴びるなど、計7点を失った。悪い状態で抑えられるほど、ソフトバンク打線は甘くない。だが、それは右腕には想定の範囲内だった。

 「ある意味、開幕前に1回、力んだ変な投球ができた。(力んだ状態では)フォームや投球が良くないということが分かったし、次の登板に向けて修正したい」。結果的に火だるまになった前田健は独特の表現で手応えを口にした。

 2年連続5度目となる開幕投手。過去4年は全て好内容でオープン戦最終登板を終えていた。普段と異なる内容にも、右腕は気にするそぶりすら見せない。

 「いつもは最初の方に打たれて、直前が良かった。今まで防御率も良すぎたし、これでいつも通り。順番が変わっただけですね」

 自身が“魔球”と表現する縦のスライダーも、この日の登板からマイナーチェンジ。これまでより曲がり幅を抑えて使用した。「あまり打者が嫌がっている感じがなかったので、変えました」と意図を説明。最終登板でも抜け目なく、自らの課題に取り組んだ。

 13年ぶり本拠地開幕のマウンドへ、やり残したことは何もない。「あと1週間で開幕を迎えられる。順調に来ています」。並の投手なら不安が残る内容。だが球界を代表する投手が責任を持って言い切った。前田健に心配は無用だ。

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