久保、変幻5回0封 “緩急”超速クイック、92キロパーム…

[ 2015年3月21日 05:30 ]

走者を背負った時の久保の足幅(右)と通常の足幅

オープン戦 DeNA0―0西武

(3月20日 横浜)
 プロ野球開幕まで1週間となった20日、各球団の開幕投手が最後の調整マウンドに上がった。DeNAの久保康友投手(34)は、西武戦で5回を2安打無失点。オープン戦3試合で防御率0・00と完璧な結果で締めくくった。27日の巨人戦(東京ドーム)でロッテ時代の06年以来、9年ぶりの大役を務める「Gキラー」に死角は見当たらない。変幻自在の投球で開幕ダッシュの道を切り開く。

 ゼロを並べても悩みが尽きないのが、久保らしい。5回を2安打無失点。11イニング連続無失点でオープン戦の登板を終えた右腕は「失点があればよかった。打たれる前と同じ投球ができるか、その練習ができなかった。不安要素があって、つぶしていった方がいい」と振り返った。

 進化を続ける34歳。「2つの顔」を持った久保が変幻自在の投球で打者を手玉に取った。走者がいない時は「手元で球が伸びるイメージ」の新フォーム。スローモーションのように3秒以上下半身を粘らせると、右腕を従来の縦振りでなく、斜めにしならせた。3回は炭谷を外角低めの144キロ直球で空振り三振。金子侑は92キロのパームでストライクを取り、最後は内角高めの143キロ直球で三邪飛に仕留めた。

 走者を背負ってからは長年の技術で磨かれた1秒を切る高速クイックが武器となる。浅村に対しては、初回は直球にシュート回転をかけて三ゴロ併殺打、4回はフォークで二ゴロ併殺打とフルスイングさせなかった。

 最速148キロの直球に切れが増し、さらにフォームの緩急と球速の緩急がミックスされた。安定感抜群の投球に中畑監督もご満悦。昨季巨人戦は3勝1敗、防御率2・31とキラーぶりを発揮しただけに心強い。「お願いします。開幕投手?言ったよ。あっ、(かん口令で)言っちゃだめって言われてたけど…」と正式通達したことを口走るほどだった。

 プロ入りは24歳と遅かったが、「松坂世代」で現在最も輝きを放っている。98年のセンバツ大会決勝。関大一で横浜・松坂(現ソフトバンク)と投げ合って敗れ、「考えて、工夫して投げないと勝てない」と頭脳をフル回転する投球術に生きる道を見いだした。
 あれから17年。職人気質の右腕は、9年ぶりとなる開幕戦の意気込みを聞かれ「いつもと同じ。入れ込んで投げてもメリットがない」とキッパリ。変わり者と言われても関係ない。結果が全てだ。 

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