“監督と呼ばないで”谷繁　今季初Ｖ打　お立ち台で異例の注文

[ 2014年5月5日 05:30 ]

セ・リーグ中日３－１巨人

（5月4日ナゴヤＤ）
　自分で止めた。中日・谷繁兼任監督が２回の右前決勝打を含む３打数２安打２打点の活躍。マスクをかぶっては４投手を好リードし、チームの連敗を５でストップさせた。文句なしのヒーローは、監督就任後、初のお立ち台にも上がり、満員の観衆を喜ばせた。

　「照れくさいんですけどね。きょうは選手として、いい働きができたと思います」

　普段の会見と変わらぬ淡々とした口調。ただ、インタビュアーが「監督…」と質問しようとすると、それを遮り「すみません、ヒーローインタビューで“監督”はやめてもらいたいんですよね。選手として立っているんで」と異例の注文を出してドームを沸かせた。

　指揮官のバットが快音を響かせたのは１―１の２回だ。１死一、二塁から内海の変化球を右前にはじき返した。「シンカーなのかカットの逆球なのか、わからないけど、何とかつなごうと思っていた」。これで２―１となった後の４回１死一塁でも、左翼線に適時二塁打し、貴重な追加点をたたき出した。

　チーム状況が悪い中、兼任監督として自分の練習だけに集中できるわけではない。「その影響はない」と否定するが、打率１割台となかなか調子が上がらなかった。それでもベテランは休養日だった４月２８日には、横浜スタジアムでの練習に参加しただけでなくフリー打撃をおかわり。やれる時間を探しては選手・谷繁の状態向上に励んだ。

　お立ち台後の会見でも「（選手か監督か）どっちの話からですか？」とニヤリ。打撃にリードにさい配にと大車輪の働きで連敗地獄から脱出し、まさに「谷繁デー」となった。

　≪勝利打点は選手兼任監督して初めて≫谷繁監督の勝利打点は昨季９月１２日の阪神戦（甲子園）同点の６回に勝ち越しの適時打でマークして以来で、選手兼任監督としては初めて。兼任監督のヒーローインタビューはヤクルトの古田監督（０６、０７年）が受けて以来。０６年５月２日の広島戦（神宮）では、同点の９回２死三塁から左翼線にサヨナラ打を放ってお立ち台に立っている。

　≪遊撃で５併殺に参加　堂上直セタイ記録≫堂上直（中）が巨人戦で遊撃手として５度の併殺に参加。遊撃手の１試合併殺参加５は、０１年８月３日広島戦の沖原（神）以来６度目のセ・タイ記録。なおパ記録は、０１年４月１８日ロッテ戦の鳥越（ダ）で６。