“新代打の神様”関本V打で2位浮上 9戦ぶり出場「何が何でも」

[ 2014年5月5日 05:30 ]

<ヤ・神>7回2死二塁、代打・関本が中越えに勝ち越し適時二塁打を放つ

セ・リーグ 阪神4-1ヤクルト

(5月4日 神宮)
 神様が一振りで決めたった~! 阪神・関本賢太郎内野手(35)が1―1の7回2死二塁で代打で登場すると、中越えの決勝タイムリー二塁打。4月23日中日戦以来となる9試合ぶり出場のブランクを、全く感じさせない職人ぶりだった。1番打者としてけん引してきた上本博紀内野手(27)が登録抹消されたその日に、チームは連敗をストップし20勝到達。2位に浮上した和田豊監督(51)は「この1勝は大きい」と声を震わせた。

  百戦錬磨の関本でも、興奮を隠しきれなかった。悠々とたどり着いた二塁ベース上で、何度も何度も手を叩いた。7回2死二塁から、決勝の適時二塁打。「何を打ったのか分からない」。試合中、球団広報を通じた談話からも、極限に達した集中力が伝わってくる。連敗阻止への執念で、バットを振った。

 「(新井さんと)2人で1点取るという監督の考えだったので。何が何でも打つという気持ちだった」

 1死二塁から代打の1番手・新井が告げられたが、先発ナーブソンの前に二飛に倒れた。左翼席から大きなため息が漏れた、直後の初球。やや甘く入ったチェンジアップを、確実にとらえた。一転、虎党からの大歓声とともに、白球は中堅手・上田の頭上を越えた。「初対戦のときこそどんどん打っていくのが鉄則」。昨年で引退した桧山の後を継ぐ新・代打の神様は、そう言って胸を張った。

 「(試合間隔があいて)何日経っても難しい。ただ、毎日(打席に)立っても難しいからね」

 切り札的存在であるがゆえに出場機会は頻繁に訪れない。4月23日の中日戦以来、9試合ぶりに訪れた打席。試合勘が狂ったとしても不思議ではないが、大仕事をやり遂げた。その秘訣とは…。それは、チーム内屈指の“野球脳”にある。

 「投手の配球も確率。たとえば変化球が60%、まっすぐは40%の投手だとする。コースで考えれば、変化球はアウトコースが70~80%。逆にインコースの直球なんて20%ぐらいでしょ」

 フリー打撃中から、ある工夫を欠かさない。チャートを元に配球を分析。打撃投手にもリクエストし、外角、内角の練習も対戦相手に基づいたものにした。もちろん、内角速球を打ち返す練習も行うが、全体の割合からすれば2割程度。難しい内角速球を闇雲に打ち返すのではなく、より本番に近づけた打撃練習を行うことで、常時試合に出られないハンディを補っている。

 「1球目、一振りで決める。大したもん。シーズンで第1回目の踏ん張りどころ。故障者が出て、連敗して…きょうはどうしても勝ちたかった。この1勝は大きいよね」

 和田監督から賛辞の声が届く。西岡の代役を全うしていた上本が登録抹消される危機を救ったのは、かつて二塁のレギュラーを張っていた関本だった。連敗も2でストップ。頼れるベテランがいるチームは、そう簡単に負けは続かない。

 ≪両リーグ最速はリーグVの03年以来≫阪神が広島と同日で20勝一番乗り。リーグ最速は08年以来だが、セ・パ両リーグ最速はリーグVの03年以来11年ぶり。2リーグ制以降で32試合目の到達は08年29試合、56年31試合に次いで74、02、03年と並ぶチーム3位タイのスピードで、和田阪神での12年46試合、13年35試合を上回った。

続きを表示

2014年5月5日のニュース