「ガンバッテ!ガンバッテ!」大宮西「ハカ」で気合注入

[ 2013年7月11日 06:00 ]

<大宮西・秀明英光>秀明英光に勝利し「ハカ」を披露する大宮西ナイン

埼玉大会1回戦 大宮西1―0秀明英光

(7月10日 県営大宮)
 第95回全国高校野球選手権大会(8月8日から15日間、甲子園)の地方大会は10日、13大会で58試合が行われた。埼玉大会の開幕戦では大宮西が試合前にラグビーのニュージーランド代表「オールブラックス」が行う伝統の舞「ハカ」で気合を注入。エース右腕・菅原俊投手(2年)が完封し、1―0で秀明英光を下した。東東京大会では都大山の西嶋甲斐内野手(2年)と、修徳の飯野周太外野手(3年)がともに1試合2本塁打をマークした。11日は16大会で158試合が行われる。

 埼玉開幕戦。1万6000人が詰めかけた開会式の後、県営大宮球場が騒然となった。試合前、大宮西ナインが一塁ベンチ前で列をつくり、秀明英光ベンチに向かって、踊りだしたからだ。

 「ガンバッテ!ガンバッテ!行こう!ガンバッテ!ガンバッテ!行こう!きょうも勝つぞ!ガンバッテ!ガンバッテ!行こう!」

 太腿を手で激しく叩き、足を踏み鳴らしながら前進。肘と肩に手を当て、両手を突き上げる。この光景、ラグビーのニュージーランド代表「オールブラックス」が行う伝統の舞「ハカ」だった。三塁ベンチの秀明英光ナインはぼう然と見つめた。捕手の山田は「相手を威嚇するためにやっています」と胸を張った。

 平均身長1メートル71。オールブラックスのような威圧感は全くないが、その一生懸命な姿が観客の心をわしづかみにし、歓声と拍手が上がった。2年生エース右腕・菅原は「自分たちの伝統。気合が入った」と言い、気温36度の猛暑の中で熱投。直球は110キロ台だが、60キロ台の超スローカーブで緩急を駆使した。そして、「気合」で投げた。6安打完封勝利。1点のリードを守り切った。

 鈴木久幹監督は「開幕戦でスタンドに人が多いから(ハカを)やれと言った」と話す。4年前、指揮官がナインを連れて東海大学のメンタルトレーニング講義を受講。その時流れた「ハカ」の映像に魅了されたナインが「試合前にやりたい」と直訴して始まった。試合後には観客から「もう一度見たい!」という声が上がり、今度はスタンドに向かって勝利を祝う「ハカ」を披露した。

 次戦は12日に八潮南と対戦する。昨夏は3回戦で涙をのんだ「大宮西ブラックス」の戦士たち。初めての甲子園に向かって、舞い踊る。

 ▽ハカ ニュージーランドの民族舞踊。古くから部族が戦いの前に自らの力を誇示し、相手を威嚇するために行っていたと言われる。ラグビーのニュージーランド代表「オールブラックス」が国際試合の前に行うことで有名。現在では相手に対して尊敬や感謝の意を表する舞として、国賓や海外からの訪問者を歓迎するために披露されることもある。

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