賢介、左翼で新天地デビュー 早速美技&初安打

[ 2013年7月11日 06:00 ]

メッツ戦の5回、メジャー初安打を放ち、ケリー一塁コーチ(中央)に祝福されるジャイアンツ・田中

ナ・リーグ ジャイアンツ6―10メッツ

(7月9日 サンフランシスコ)
 今年1月にジャイアンツとマイナー契約を結んだ田中賢介内野手(32)が9日(日本時間10日)、傘下3Aフレズノからメジャーに昇格した。本拠地サンフランシスコで行われたメッツ戦に背番号37で登場。「2番・左翼」で先発出場した。不慣れな左翼の守備では2回に本塁打性の当たりを好捕し、5回に中前に初安打を放つなど、デビュー戦を鮮やかに飾った。日本ハム時代は華麗な二塁守備が売りだった男が、なりふり構わぬ姿勢で大リーガーとしての第一歩を切り開いた。

 2回2死。右手でフェンスの位置を探りつつ、田中は懸命に背走した。無我夢中でジャンプすると、大飛球はグラブの先に引っ掛かった。大歓声を受け、無意識にガッツポーズを連発した。

 「たまたま、体がうまく反応してくれました。気持ちよかったから、ついついガッツポーズしてしまいました」

 5回の第3打席では中前にメジャー初安打。総立ちの拍手を受け、ヘルメットを取ってファンに一礼した。「米国ならではのことだし、メジャーの世界だと実感しました」と喜びをかみしめた。

 全てが突然だった。午前7時半にフレズノのボブ・マリアノ監督から電話があり昇格を告げられた。慌てて荷物をまとめ、タクシーで3時間半をかけ約300キロ離れたサンフランシスコへ。午後2時半に球場へ到着し試合開始2時間前の同5時に先発を知らされた。しかも17連戦の12試合目。疲労を考慮してチームは試合前に守備、打撃練習ともに行わなかった。まさにぶっつけ本番。だが初めてプレーするAT&Tパークで「最初で最後のチャンス」と悲壮な決意で臨んだ。試合には敗れたが、結果は残した。

 日本ハム時代は5年連続ゴールデングラブ賞を獲得した二塁手が、春季キャンプから送球と天然芝の打球に苦しんだ。「いかに自分の技術が駄目だったか思い知った」。遊撃と三塁は特に困難と感じた上、二塁は層が厚いために先月に外野での出場を志願。日本ハム時代の同僚で現DeNAの森本にメールで「通信教育」を受け、外野守備の基本を学んだ。3Aでは主にDHでの出場だったが、打率・330、20盗塁の活躍が認められた。

 この日、ジ軍は通算140本塁打でメジャー屈指の強肩を誇る外野手のフランコアとマイナー契約。今後の道のりも決して楽ではない。それでも田中は「新しい風を入れられるように頑張りたい」とようやくたどり着いた憧れの舞台での活躍に思いをはせた。

 ≪内→外 転向は初≫ジャイアンツ日本人野手の大リーガーは田中で14人目。内野手は7人目だが、内野手が外野手としてデビューしたケースは初めてだ。32歳1カ月でのデビューは、32歳11カ月の田口に次ぐ遅咲き。また、日本人野手は14人中11人がデビュー戦で安打を放っている。

 ▼日本ハム・栗山監督 安打を打ってガッツポーズをしていたのを見て、ゼロから一生懸命やるという気持ち、慣れちゃ駄目だということを僕らも感じさせてもらった。

 ▼日本ハム・稲葉 1本出てホッとしているでしょう。映像を見たけど目に涙が浮かんでいたんじゃない?

 ▼日本ハム・鶴岡 僕もうれしかった。成績を残せばどんどん使ってもらえると思うし、活躍してほしいですね。

続きを表示

2013年7月11日のニュース