藤浪 マエケンに勝った!もう1人の憧れダルに並んだ高卒1年目5勝

[ 2013年7月8日 06:00 ]

<広・神>6回、エルドレッドを一邪飛に仕留め、雄叫びを上げる藤浪

セ・リーグ 阪神4-0広島

(7月7日 マツダ)
 胸に抱いた憧れ、そして尊敬。前田健と初めて投げ合った。阪神の19歳ルーキー藤浪は勝った。

 「(前田健は)相手投手でしたが、自分が対戦するのは打者。ただ、相手チームのエースなので、簡単に点をやると試合に負けてしまう。何とか粘ってと思った」

 前田健は6歳上で同じ大阪出身。中学時代に所属した「泉北ボーイズ」に前田健を指導したコーチがおり、面識があった。大阪桐蔭時代にも同じトレーナーに肉体ケアを担当してもらった。肩周りの柔軟性維持のため「マエケン体操」を活用するほど心酔していた。身近な存在であり、遠い背中。雨で試合開始が30分遅れる難しい条件下、1点を失った相手に対し、6回3安打無失点で三塁を踏ませなかった。

 4勝目を挙げた5月26日の日本ハム戦(甲子園)から勝ち星がなかった。抑えたい気持ちが力みにつながり、球威も制球も欠いた。登板予定だった3日巨人戦(甲子園)は雨天中止に。中13日。空いた登板間隔を利用し、中西投手コーチの指導でフォームを見直した。

 「余計な力を抜く」。巨人の杉内を参考に脱力したフォームに改造。従来と異なり、左足を上げる際にグラブをポンと膝付近に当ててリズムを生み出す。力みを極力抑えて、リリースポイントに力を入れた。最速151キロ。球威は戻り、2四球と制球も安定した。気分転換でグラブも赤から黒に替え、42日ぶりの5勝目。もう一人の憧れ、ダルビッシュ(レンジャーズ)の高卒1年目の勝ち星に12試合目で並んだ。

 6月16日楽天戦(Kスタ宮城)では5回途中3失点KO。完封した田中に力の差を見せつけられたが、和田監督は「マー君を見たからかな。感じたものがあったんだろうね」という。同じく日本を代表する投手の前田健との投げ合いで、6回を92球の完封ペース。7回攻撃中に降雨で1時間2分の中断を挟んだため、6回で降板した。「雨は仕方ない」。前田健もここで降板し、決着がついたとは言えない。それでも、勝ったのは事実だ。

 「しばらく自分の投球ができず悔しい思いをいっぱいした。焦りもあった。苦しかった期間でした」。手に入れた5勝目。藤浪は「球界のエース」に上り詰めるための一つの試練を乗り越えた。

 ▼阪神・藤井彰(藤浪を好リード)きょうの藤浪は真っすぐが良かったんじゃないかな。

 ≪阪神では江夏、遠山に次ぎ3人目≫ルーキーの藤浪(神)が5勝目。高卒新人の5勝以上はドラフト制以降19人目。阪神では67年江夏(12勝)、86年遠山(8勝)両左腕に次ぎ3人目だが、右腕では10年秋山の4勝を上回る、球団高卒新人のドラフト制以降最多勝利になった。また、高卒新人が7月7日までに5勝は、07年田中(楽=6月26日)以来。セでは前出の67年江夏が5月28日に5勝目を挙げて以来46年ぶりだ。

 【昨年七夕の藤浪】昨年7月7日は大阪桐蔭のエースとして大阪大会の開会式に臨んだ。11年夏は大阪大会の決勝で敗れたため「夏の借りは夏にしか返せない。目の前の試合を一試合一試合、勝っていきたい」。決勝で履正社を破り甲子園出場を決めると、本大会でも春の王者として圧倒的強さを見せつけた。決勝・光星学院戦は3―0と2安打完封勝利で史上7校目の春夏連覇を達成した。

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